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11月10日
◆声明
ガザの犠牲をこれ以上増やさないため、国際社会は介入を

2006年11月9日
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン

 11月1日からイスラエル軍は、パレスチナのガザ地区北部ベイトハヌーン一帯で、『秋の雲』という軍事作戦を展開しています。その結果、11月6日までに50人以上のパレスチナ人(女性と子どもが多く含まれる)が犠牲となり、負傷者は350人以上に達しました。11月7日にいったんイスラエル軍はベイトハヌーンから撤退したものの攻撃は続き、11月7日に8人が死亡、11月8日未明には戦車の砲撃によって民家4軒が破壊され、4歳から70歳までの19人が死亡、55人が負傷と報じられています。

 人口2万8千人のベイトハヌーン市と周辺は外出禁止令下におかれ人々は眠れない夜を過ごしています。1万人以上の児童生徒は通学出来ず、食料、飲料水が不足し、停電が続いていますし、遺体の半数は瓦礫の下に埋もれたままだとも報じられます。

 6月末に始まったイスラエル軍の『夏の雨作戦』によって、ガザは発電所や幹線道路、橋などが爆撃され、また厳しい封鎖によって、物資や人の出入りが大幅に制限されたままです。停電はガザの人口の半数に影響し、日常生活が非常に厳しいだけでなく、すでに6月末から10月末までにガザ全体で300人以上が死亡しました。その多くが女性子どもを含む民間人で、子どもの死者は今年に入って100人を越えています。

 昨年夏にイスラエル軍はガザ地区から『一方的撤退』を実施し、同時に入植地からもユダヤ人入植者が撤退しましたが、ガザ地区全体の包囲封鎖はかえって強められ、攻撃を受けても人々は逃げる場所もありません。統計によれば、今年のガザの死者はすでに昨年の二倍を越えました。

 今年1月のパレスチナ自治政府の選挙の結果、3月にイスラム主義政党ハマースの政権が成立すると、米国を中心に経済援助が停止され、パレスチナでは極度に経済が悪化しています。パレスチナ自治政府の歳入の大半を占める海外からの経済援助がほとんど打ち切られ、またそれについで多いイスラエル製品の輸入関税(イスラエルが代理徴収)の支払いをイスラエルが停止しているために、医療や教育などの公共サービスがストップし、また公務員の給与は6ヶ月以上払われていないために、人口の1/3以上の人がその影響を受け、ほとんどの経済活動がストップしたままです。

 ガザは長年の軍事占領によってインフラが整備されず、産業も発展しませんでした。その結果、多くの住民がイスラエルでの低賃金労働を余儀なくされる一方で、消費財のほとんどがイスラエル製品となり、イスラエル経済に組み込まれているため、封鎖は経済に大きな痛手になっています。ガザの経済状態は10年前の半分以下になったと指摘する専門家もいて、子どもの栄養状態の悪化が顕著です。
 7月8月と続いたイスラエルのレバノン侵攻による破壊と犠牲は記憶に新しいところですが、その影で、ガザへの軍事侵攻と封鎖はあまり注目されないまま現在も継続し、犠牲者が日々増え続けています。ガザでは、あまりにもひどい状況と国際社会の無関心さに人々の怒りは行き場をなくし、NGOなど外国人に対する敵愾心も生まれてきたと指摘されるほどです。

 鳴り物入りで実施され、米国を先頭に国際社会が賞賛した『ガザ撤退』が実質的にはガザの市民生活の改善につながらなかったどころか、封鎖と軍事侵攻の継続にしかならなかったことを、国際社会は直視しなければなりません。また選挙で民主的に選ばれたハマース政権に対しては、たとえ意に沿わないとしても、その結果を国際社会は尊重し、これ以上市民生活が壊滅しないように、経済支援を再開しなければなりません。

 イスラエル軍が民間人への攻撃を停止するように、国際社会の介入がいま緊急に必要なのです。日本政府がこの事態に対してイスラエル政府に働きかけるよう強く求めます。また市民レベルでも声を上げるよう広く呼びかけます。

* ガザ地区は、360平方キロの狭い土地に130万人以上が暮らしています。しかも今後20年で人口は2倍になると推定されています。人口の半数が15歳以下ですが、子どもたちは戦争の中で生まれ育ち、長年安全に遊ぶことも出来ず、通学途中や教室のなかでさえ軍事攻撃の犠牲になってきました。成長しても職がなく、若者の多くが失業中です。しかし外国に出ることも大変に難しく、若者の閉塞感が社会に広がっています。このガザで、子どもたちや若者が健康に暮らし、希望を持って前向きに成長していくためには、国際的な支援が必要なのです。

* 特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーンは、ガザ地区で、1992年以来ろう学校の運営支援事業を継続し、最近では貧困地区での子ども参加型センター事業も開始しました。当会の現地駐在員もエレツ周辺が危険なために、ガザに入ることが出来ない状態が続いています。

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特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
Campaign for the Children of Palestine(CCP)
〒171-0031 東京都豊島区目白3-4-5 アビタメジロ304
Tel:03-3953-1393 Fax:03-3953-1394
Email: ccp@bd.mbn.or.jp
HP:http://www32.ocn.ne.jp/~ccp/



7月7日
認識のアンバランス
  〜イスラエル・パレスチナ問題に欠ける視点
 ガザの状況がますます深刻化しています。これは明らかにイスラエル軍による人為的な攻撃であり、出さなくてもいい犠牲です。それを止められないのは何故かということを考える必要があります。
 今の激化のきっかけとなった事件の報道を見て下さい。
【エルサレム25日共同】ガザ地区との境界にあるイスラエル南部ケレムシャローム付近で25日、パレスチナ人武装集団がイスラエル軍を襲撃し銃撃戦となった。パレスチナ筋によると、少なくとも軍兵士2人と武装集団3人の計5人が死亡。武装組織側は軍兵士1人を≪拉致≫した。昨年9月までにガザ地区からユダヤ人入植者と軍が完全撤退してから最大規模の戦闘。軍はこの攻撃を受け、ガザ地区内に侵攻した。
 (中略)
 イスラエルは昨年8月、ユダヤ人入植地全21カ所を撤去。軍も翌月、1967年の第3次中東戦争以来、38年ぶりに完全撤退した。だが、ガザ地区からのロケット弾攻撃はやまず、武装組織幹部らを狙った空爆を続け、パレスチナ市民の犠牲も多く出している。(≪≫は大河内による)
 このような記事だけを目にする人々は、パレスチナ人によるテロに対してイスラエル軍が侵攻したと読めます。しかしこのような認識は間違いです。
 CCPの顧問でもある奈良本英佑さんは、この事件と現在に状況に関するコメントの冒頭で、
 “言葉使いに気をつけよう。25日、ガッザ地区ラファハの近くで武装グループが行なった、イスラエル軍への奇襲攻撃は、ふつう「テロ」とは言わない。負傷したイスラエル兵を連れ去ったことを、「拉致」 「誘拐」というのは適切でない。”
 “パレスチナ人のゲリラ攻撃でイスラエル兵2人が戦死、4人が負傷、1人が捕虜になった。ゲリラ側は2人が戦死、6人は逃走した――このような言い方が、より客観的だろう。パレスチナ側(武闘派)の作戦がこのように成功するのは珍しいが、軍事的にはごく小さな事件なのだ。”
と、おっしゃっていますがその通りです。
 5人が死亡し、1人が連れ去られた襲撃を「ごく小さな事件」とすることに抵抗を感じたとしたら、まさしくこの現実の全体像がまったく見えていないということです。「小さな事件」を理由に、圧倒的な軍事力を行使し、多くの生命、財産、生活を奪っているのは明らかにイスラエルです。後述するパレスチナ人権センターの週間レポートをご覧いただければ、そのアンバランスがわかるはずです。
パレスチナ人権センター(PCHR)週間レポート見出しより

▼PCHR週間レポート《2006年6月22日〜28日》

 占領されたパレスチナ地域におけるイスラエル占領軍(IOF)によるパレスチナの市民とその財産に対する攻撃がエスカレートし、ガザ地区は外部の世界から孤立している。

◆パレスチナ人1人が、超法規的に処刑された。
◆ガザ地区では、IOFの戦闘機がたくさんの空爆と衝撃波攻撃を繰り返し、多くの市民の家や設備が破壊され損害を受けた。
◆IOFは西岸地域において、48のパレスチナ人コミュニティへの襲撃を指揮した。
◆IOFはガザ南部ラファにおいて1キロメートル近くまで侵入し、2人のパレ スチナ人を逮捕し、ガザ国際空港の管理機能を奪った。
◆子ども5人と女性1人を含む63人のパレスチナ人がIOFに連行された。
◆5軒の家がIOFにより軍事拠点として接収された。
◆IOFは占領地全域にわたる包囲を続けている。IOFはガザ地区においては より強度の包囲攻撃を行っている。IOFは西岸地区の検問所において、7人 のパレスチナ市民とパレスチナ労働相のモハメド・アル・バルグーディを逮捕した。
◆IOFは西岸地区で分離壁の建設を継続している。IOFはベツレヘム近郊で 土地の更地化を再開し、少なくとも200本のオリーブが根こそぎ引き抜かれた。IOFは西岸北部のシャビショムロン及びアリエル入植地近くで分離壁による分断を継続している。
◆占領地内におけるイスラエル入植者によるパレスチナの市民及び施設に対する 攻撃も続いている。3人のパレスチナ人が負傷し、5軒の家が破壊された。

▼PCHR週間レポート《2006年6月29日〜7月5日》
◆9人のパレスチナ人がIOFに殺された。
 ◇犠牲者の内6人は、ガザ地区への集中攻撃による者。
 ◇2人は西岸地区においてIOFによる超法規的処刑。
◆子ども18人を含むパレスチナ人91人が、IOFの銃撃によって負傷した。
◆IOFの戦闘機による度重なる空爆と衝撃波攻撃がガザ地区に放たれている。パレスチナ首相府や内務相事務所をはじめ、多くの市民の家屋や設備が損壊した。
◆IOFは、西岸地区及びガザ地区再占領地帯において81箇所のパレスチナ・コミュニティ襲撃を指揮した。
◆7人の閣僚、24人の議員、6人の子ども、2人の少女を含む102人の文民市民がIOFに逮捕された。
◆ガザ地区において、5軒の家と数百ドナム(1ドナム=1000平米)の農地がIOFにより破壊された。
◆ガザ北部の6軒の民家がIOFの軍事目的のため接収された。
◆西岸地区で、IOFにより35の慈善組織が攻撃されその多くが閉鎖された。
◆ラファでは一帯の電気設備が破壊され、町は暗闇の生活を強いられている。
◆IOFは占領地域に対する包囲攻撃を継続し、ガザ地区の封鎖を強めている。何十人もの病人がラファの国境で足止めされている。さらにIOFは西岸地区において様々な検問所を設け、3人のパレスチナ人市民を逮捕した。
◆IOFは西岸地区において分離壁の建設を続けている。ヘブロン北部のケルミ・ツル入植地を囲い込むフェンスを完成し、IOFはヘブロン西部のベイト・オウラ村で少なくとも25ドナムの農地を(パレスチナ 人から)没収した。
(訳・大河内秀人)

7月5日
声明≪人道的な危機に直面しているガザに国際的な関心を!≫
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
2006年7月5日
 現在、極端に悪化しているガザの人道状況を日本国内に広く訴え、日本政府の人道的な介入を求めます。
 
 厳しい暑さの中で、イスラエル軍によって先週、発電所が破壊されたために、ガザでは日に数時間しか電気も水道も供給されず、下水処理やゴミ処理も滞っています。また復旧には半年かかるといわれています。

 1月の自治政府の選挙で、イスラム主義政党のハマースが過半数を得て以来、国際的なパレスチナ自治政府ボイコットによって打撃を受けていたパレスチナ社会、特にガザ地区は人道的な危機を迎えています。夜間を中心に、イスラエル軍ジェット機が起こすソニックブーム(超音速の低空飛行によって起こされる衝撃波)により、人々は夜も眠れず、窓ガラスや建物に大きな被害が生じています。

 先週起きた、イスラエル軍事基地へのパレスチナ軍事組織の襲撃による2名のイスラエル兵殺害と兵士1名の拉致に対するイスラエル政府の反応は不釣合いといって過言ではありません。民間のインフラへの攻撃は、住民全体への集団懲罰となっていて、捕らわれた兵士の解放をもたらす見込みはありません。このようなガザの人々に対する集団懲罰はジュネーブ条約など国際法違反であり、すでにパレスチナ人が直面している持ちこたえられない経済状況の中で、人災を作り出しています。

 政治的解決が時間切れとなり、暴力が継続され、話し合いの可能性がなくなることを私たちは強く憂慮します。それゆえに私たちは、双方に暴力的攻撃と報復を止めて、現在の状況から抜け出す唯一の方法として話し合いをするよう呼びかけます。私たちは捕らわれているイスラエル兵を即時解放するために、ハマース政権がその影響力を行使することを呼びかけます。さらに私たちはイスラエル政府に対して、ガザへの軍事攻撃を停止するとともに、先週火曜日にイスラエル軍によって捕らえられたハマース政権の閣僚や国会議員などを解放することを呼びかけます。現在の危機を終わらせ、また長期の人道的政治的問題を解決するためイスラエルとの交渉を再開できるよう、私たちはハマースにパレスチナ自治政府の他派との交渉に戻ることを呼びかけます。

 また、日本政府が人道的な介入を開始し、現在の危機的状態を脱するために最大限の努力をするよう強く求めます。

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特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
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現地(ハン・ユニス)NGOスタッフからのメッセージ

 危機状態にあるガザの人々がどのように暮らしているのか?
 ガザ・ハンユニスのNGOである「文化と自由な思考を目指す協会」(CFTA)の渉外担当であるマジダ・エル・サッカさんのメッセージをお送りします。

 当会の現地駐在員は、ちょうど先週月曜日にガザに入る予定でしたが、事件が起きてしまって入れなくなってしまいました。そこで、現地の様子についてはハンユニスに電話でインタビューをしましたので、ご紹介します。(CFTAと当会は、ハンユニスで子どものセンターの開設と運営を今年開始しました。)


なぜ国際社会は黙っているのか?
マジダ・アル・サッカ(文化的で自由な思考をめざす協会)

2006年7月4日
 パレスチナ・ガザ地区での状況は極端に悪化しています。ガザ唯一の発電所が6月28日にイスラエル軍によって破壊されたため、電気と水の供給は48時間完全に止まりました。70万人に直接の被害がおよび、ガザ全体で現在も毎日数時間しか電気は供給されていません。発電所が修理され復旧するまでに半年かかるだろうといわれています。

 ガザは蒸し暑い夏を迎えていますが、夏休みを迎えた子どもたちは、どこにも行くことができません。冷蔵庫も扇風機もテレビも動かず、楽しみにしていたワールドカップサッカーも停電のため見ることができません。すぐそばに海岸がありますが、先月海水浴をしていた一家7人がイスラエル軍の砲撃で殺された事件以降、海岸で遊ばせる親はもちろんいません。3ヶ月という長い夏休みを、子どもたちはどこで何をして居たらよいのでしょうか? 

 私たちがパレスチナ子どものキャンペーンと一緒に開設したばかりの新しい子どものセンターには、120人の定員のところ、毎日1000人もの子どもと、300人の母親達が押し寄せてきます。2時間ずつと時間を限って受け入れることにしました。スタッフは疲労困憊ですが、他にいくところがないのでしょうがないのです。

 パレスチナでは人口の半数が16歳以下ですから、およそ75万人の子ども達が影響を受けているのです。
 センターが計画していた夏のリクリエーション活動やスタッフの訓練などはすべて振り出しに戻ってしまいました。緊急事態に対処しなければならないからです。
 また停電のために事務的な活動も停滞し、スタッフは皆、毎日電気が使える時間は事務所に来なければならず、週末の休みなしに働いています。

 ガザでは住民全員が毎日「ソニックブーム」の影響を受けています。イスラエル軍のジェット機が超音速で低空を飛ぶために生じる衝撃波です。毎晩1、2時間おきに、昼間も時折、この衝撃波がガザを襲っています。ちょうどいまも、それが起こりました。電話でも聞こえるでしょう? 耳の痛み、頭痛を訴える人も多く、子ども達は恐怖で泣き叫びます。ただでさえ暑苦しい夜、大人も子どもも一睡もできずに朝を迎え、誰もが疲労と不安でげっそりとした顔をしています。衝撃波で窓ガラスが壊れるだけでなく、これだけ長期に続くと建物自体がそのうちに崩壊するのではとも言われています。

 長い占領政策の結果、燃料や食料もイスラエル経済に依存しなければならないガザでは、イスラエルが物資の搬入をとめているために(7月3日から一部再開しましたが)、燃料が不足し、自家発電装置を備えている医療機関なども発電ができません。店に物がなくなり、価格が二倍三倍になるいっぽうで、買い物客が殺到したりして混乱も広がっています。電気に頼っている浄水処理場、下水処理場は稼動せず、燃料がないためにゴミの収集もストップし、街は悪臭と蚊やハエが人々を悩ましています。家の中が暑いので外に逃げ出しても今度は蚊に刺されるばかりです。人口密度の高いガザでは5階建て以上のアパートに住む人が増えましたが、エレベーターも止まり、飲料水など重い荷物をもって階段を上らなければなりません。

 停電は社会活動に大きな影響を与えています。冷蔵庫も使えず営業を停止している店も多く、また客が来ないので店を開けておいても仕方がないのです。
 医療現場もどんどん困難になっています。医療団体によれば、ガザでは人工透析を必要としている人が250人、喘息で酸素マスクが必要な人が2500人、予定されていた手術が日に平均200件、また分娩も1日平均2000件あります。22か所の病院でのこうした医療活動が麻痺し、癌の化学療法のためにイスラエル側への通院もすべて不許可になっています。

 ハマス政権の成立以降、ガザの生活はどんどん厳しくなってきていました。封鎖や攻撃は先月から続いていますし、公務員の給料は5ヶ月以上払われていません。

 しかし、6月28日以降すべてが極端にエスカレートしているのです。
軍事組織への攻撃はこれまでもありましたが、大学など民間人への攻撃にエスカレートしています。ソニックブームが2日に1回から2時間ごとになり、発電所が破壊され、食料や燃料も店から姿を消しているのです。


 外界への唯一の出口であるエジプト国境のラファでは、ガザに戻れず、4000人が足止めされています。シナイ半島の砂漠の中の簡単な国境には、レストランも宿泊施設もなく、トイレすら満足にはありません。そこでこれだけの数の人が1週間立ち往生し、難民状態になっています。

 人々は恐怖の中で生活しています。また、こうした集団懲罰は犯罪だと感じています。それなのに世界中がなぜ黙ってこうした事態を傍観しているのかと不思議に思っています。全員がハマスの支持者でもないし、ほとんどの人が武装組織に賛成しているわけでもありません。それなのに、私たち住民全体が人質に取られているのです。これは一種の心理戦争なのです。知り合いの中にはここでの生活をあきらめ、ガザから出て行くことを考えている人もたくさんいます。子ども達までもなぜここに住まなければいけないのかと質問するようになっているからです。



6月10日

パレスチナ・ガザの子どもたちからのアピール
国際こどもの日に寄せて
 国連・アナン事務総長様
 アラブ連盟・ムーサ事務総長様
 パレスチナ自治政府・アッバス大統領様
               ハニヤ首相様
 世界中の指導者、市民の皆さま
 平和・正義・自由のために活動している世界中の皆さま
 人権のための地域団体、すべての国際組織の皆さま

 そして、みなさん、なかまの子どもたちへのアピールです。
 わたしには言いわけすることはないし、だれかに同情されたいとも思いません。
だってわたしはちゃんと言いたいことのある子どもだから。わたしは大きな声でそれを言うし、そして、小さな鉛筆を使ってこの世界でわたしの作ったものを描くことができます。それは感覚を働かせることのできる人、人間性を守ることができる人、そして人間の価値をよろこぶことができる人への、光の言葉です。

 あなたに向かって、わたしはまだ希望を持っているし、親切や愛や平和が、邪悪なものや抑圧や攻撃や不正義よりも強いと信じているわ、と言うでしょう。

 わたしたちも世界のほかの子どもと同じように夢をいっぱい持っています。一番大きな夢はなにと聞かれたら、私たちにはない平和で無邪気なくらしをすることと答えるでしょう。お父さんやお母さんはわたしたちを愛しているし、わたしたちのためにいろいろなことをしてくれるけれども、パレスチナの子どもの生活は昼も夜も危険と恐怖でいっぱいです。戦車の砲撃やアパッチヘリコプターの音がいつでも聞こえるし、いつ攻撃されるかとびくびくしています。占領によって子どもたちがたくさん犠牲になっています。

 こんなひどい環境に生きても、わたしたちはそれでも世界の良心は目を覚ますに違いないと希望を持っています。だから、わたしたちの国では選挙をするのだと皆考え、パレスチナ人も民主主義を知っていることを知らせようとしました。

 わたしたちには選挙権はありませんが、民主主義がどんなものかを味わいました。家でも学校でも、そしてここ「子どものセンター」でも民主主義について習いました。新聞やテレビもその魔法の正しさをしょっちゅう言っていました。そして、パレスチナ社会全体が、女性も男性も、民主主義を実現するために選挙に参加しました。そうしたら、安全になると思ったからです。

 それなのに、これからわたしたちは民主主義をどう理解したらよいのでしょう。いまパレスチナ社会は世界から見捨てられ、罰せられ、心理的にも拷問にかけられているのです。わたしたちはいま民主主義という言葉を理解できなくなっています。民主主義ってどんな意味だったのかしら、とわたしたちは聞きたいです。

わたしたちが理解できるように説明してください。
民主主義って包囲と飢餓のことですか?

それは殺人と砲撃と破壊と暗殺のことですか?

民主主義って国際法や国連決議を全部無視することですか?

刑務所に入れられたり、栄養失調になることですか?
 わたしたち、パレスチナの子どもは、聞きたいのです。「どんな民主主義をあなたは欲しいの? どんな平和をめざしているの?」と。

 封鎖が続き、高慢な抑圧があっても、わたしたちの一番基本的な権利が否定されても、わたしたちは成長し、花開き、大人になります。わたしたちの権利と正義のために、また刑務所に入れられたり、殺された人たち、傷つけられた人たち、とりわけ子どもたちのことを考えると、わたしたちには、世界中の平和を愛する人たちと世界中の子どもたちに訴える責任があります。
国際法をもとにしたパレスチナ問題の公正な解決を

「子どもの権利」条約の実現を

パレスチナの人々を苦しめている封鎖の解除を

難民問題を取引の材料にしないことを

イスラエルの刑務所に捕らえられている人たちの釈放を

 そして、アッバス大統領と自治政府に対しても訴えます。こんな無法状態はもう結構です。わたしたちは安全に安心して暮らしたい。
2006年 6月 1日
パレスチナ・ガザ地区・ハンユニス
自由な思想と文化をめざす会の子どもたちより
(翻訳・お問い合わせ:特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン)

*「自由な思想と文化をめざす会」はガザのハンユニス地域で活動している女性が中心のパレスチナのNGOです。ハンユニス難民キャンプの子どもセンター、子ども会議、ドラマセラピーなど様々な自己表現活動に意欲的に取り組んでいます。

 「パレスチナ子どものキャンペーン」は今年夏から、この団体と一緒にイル・バッティン・サミーンという場所で、新しい子どもセンターの活動を始めます。

5月31日

パレスチナ子どものキャンペーン 緊急アピール

国際的な援助の停止による
パレスチナでの危機的な状態について


 パレスチナでは、いま深刻な事態が進んでいます。
 1月末の総選挙の結果、イスラム政党のハマースが組閣を行ったことに米国をはじめとする国々が反発し、自治政府への国際的な経済支援がストップしています。

 その結果、公務員や教員の給与が支給されないまま3ヶ月たって
います。長期の軍事占領と近年さらに激しくなったイスラエル軍による破壊のために、ほとんどの産業が成り立ちえないパレスチナでは、自治政府の予算の60%は公務員の給与であり、この給与に人口の4分の1が頼っています。民間でも自治政府との取引が主たる収入になっている会社も多く、自治政府に資金がないため多くの経済活動が停止しています。また占領下でイスラエルに大きく依存せざるをえないパレスチナ経済の現状は、わずかなものを除くとライフラインもほとんどの消費材もイスラエルの企業から購入しているために、支払いが滞っているという理由で物資が途絶えるなどの事態も起きています。

 ヨルダン川西岸の街ヘブロンの病院で、ボランティアとして活動中の岩隈医師の報告では、医療費が払えないために、脳腫瘍手術の予約が軒並みキャンセルされ、病棟はほとんどが空きベッドで、腎臓透析を受けられない人も急増しているそうです。医療機関のほうも、医師や看護士などの給与が払えない事態になってきました。一方、国連機関までが自治政府との接触を制限しているために、ワクチン接種もストップしています。ハマス政権になったとは言っても行政機関のほとんどの公務員は従来からのメンバーですから、大国による政治的な駆け引きが民生を圧迫しているのに過ぎません。

 自治政府の資金の不足は、年金生活者、特に母子家庭、孤児、獄中の政治犯の家族など貧困層を直撃しています。「ガザ人権センター」によれば、ガザでは37%が貧困世帯、26%が最貧困世帯となり、人口の半数が貧困ラインを下回り、一日に一食という家庭も半数に上っています。その結果、5歳以下の4割に貧血が見られ、4割の家庭で保健医療を受けられないという状態です。町のあちこちの屋台で売られている最も庶民的な「ファラフェル」というコロッケサンドを買うことができない人が非常に増えています。

 こうした経済状態の悪化は、この間急速に進んでいる治安の悪化に拍車をかけ、ガザでは頻繁に銃撃戦が起きています。パレスチナ社会ではこの1年間、政治的社会的な混乱が広がり、内部対立から死者が出る状況が生まれ、長い占領を耐えて生きている人々の生活はますます難しくなっているのです。

 外務省によれば、日本政府からの援助は元々自治政府への直接的なものでなく国連機関を通したものなので急激な変化はないということですが、上述のワクチンなど基本的な支援が継続できないのも確かです。私たちはこうした危機的な時期に、日本政府は民生のための積極的な人道支援をするべきだと考えます。

 当会でも、NGOとしての独自の支援活動を現在検討中です。

5月31日

特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
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2月22日

子どもを応援する椅子になりたい




 「江戸川子どもおんぶず」の新しいパンフレットの表紙には椅子が描かれています。スタッフの一人が『おたんじょうび』という絵本を読んで、これだ! と思ったのです。
 小さな子どもが、部屋の明かりをつけたいのだけれどもスイッチに手が届かない。それを見て大人が点けてあげることもできます。でもそうではなくて、椅子をそっと差し出してあげると、子どもはそれを踏み台にして、自分で点けることができます。社会的弱者である子どもたちを守ることは大人のつとめです。と同時に、子ども自身の願いや可能性を信じてその成長を支えること、さらには子どもが参加できるよう社会を開くことも、大人の使命です。そして疲れたときは優しく「休んでいいよ」と言える。
 「江戸川子どもおんぶず」は、そんな“椅子”をイメージして取り組んでいます。

2月8日

 パレスチナ選挙を巡って

 去る1月25日に実施されたパレスチナ議会選挙でイスラム原理主義を標榜するハマスが圧勝したことを受けて、イスラエルや欧米から様々な憂慮の表明や否定的な圧力が加えられています。私は決してハマスを支持する者ではありませんが、パレスチナの大多数の人々も私たちと同じ普通の生活者であるという大前提の下に、大きく3つの認識を持つことを訴えます。

 まず第一は、ハマス=テロリスト集団と単純にみなすことの誤りです。もちろん強いイスラム信仰に立脚するセクトではありますが、その主要な活動は、福祉や医療、教育などを提供する組織として、住民の中に受け入れられてきたということです。イスラエルによる占領下で、行政の機能が皆無に近い状態の中で、他の政党やNGOと同様、社会サービスを担ってきたということは伝えられず、事件の主役としてのみメディアが報道してきました。

 第二の点は、そうは言っても多くの人々は元から支持をしていたわけではなく、近年の様々な内外状況が、人々にハマスへの投票を促したことです。対テロ戦争(参考http://www.juko-in.or.jp/Message2005.htm#051009vsterr)の典型のようなイスラエルの政策によって、土地も財産も尊厳も奪われていく人々にとって最後に頼るところとなり、加えて分断されたパレスチナ社会で自治政府の諸勢力が争い、腐敗し、失望と反感を買っていたこともあります。人々は“過激派”としてのハマスを支持したのではなく、宗教的な原理の下に“誠実できれいな”ハマスに期待したと見るべきです。

 そしてもう一点は、この選挙がいたって民主的に行われたということです。アラブ世界で初めてと言えます。もちろん「満場一致」ではなく反対者も少なからずいることも含め、間違いなく民意を反映しています。そして心しておくべきことは、「民主的」な選挙を行うことで、今の情勢の中では、世界中で「原理主義的」な政権樹立が予測されることです。それは人々に内在する要因というより、抑圧的で差別的な国際情勢がそうさせるのだと私は確信します。

 民主的かどうかという観点において、パレスチナ社会は、少なくとも石油資本に支配されているサウジアラビアをはじめとする「親米」政権の国々よりはよほどマシです。人々はそんなアメリカが押し付ける民主主義のダブルスタンダード、不正義、拝金主義を、そのしわ寄せを受ける立場として、とうに見極めているのだと思います。
 十数年来、現地の人々と接し、その現実、取り組み、希望、失望を目の当りにしてきた者として、彼ら彼女らの「究極の選択」を尊重し、大国の都合に翻弄されてきた人々が、今こそ人間として生きる権利を獲得し、自らの意思で未来を切り開くチャンスを生かせるよう、訴えて行きたいと思います。

 以下は「パレスチナ子どものキャンペーン」のメッセージです。

パレスチナの選挙結果を巡って
2006年2月1日

特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン

1月25日に実施されたパレスチナの選挙では、イスラム主義政党のハマスが予想を大きく上回る得票を獲得し、過半数を確保しました。その結果、ファタハからハマスへの政権交代が予定されています。この選挙結果について、イスラエルも米国やEUなど国際社会も驚きあわてていますが、現地の状況を良く知る立場からすると、これはむしろ十分予期された結果といえるでしょう。

今回の選挙は、整然と民主的に行われたといえます。当会の現地駐在スタッフ2名も国際的な選挙監視団の一員として、投票や開票に立会いました。またEUや米国からは大勢の選挙監視員が送り込まれ、そのレポートでも選挙が整然と実施されたことが報告されています。それどころか、独裁政権が続いてきたアラブ世界で、選挙によって政権が交代することは極めて稀な事態ですから、パレスチナに民主主義が根付いていることの証といえます。

ですから、この選挙結果はパレスチナの民意の反映として冷静に評価すべきです。特に選挙前に、イスラエル政府がハマスとの交渉の可能性さえ拒否し、米国やEUはハマスが政権に参加した場合には支援を凍結する旨を宣言したにもかかわらず、多くの有権者がハマスに投票したことを国際社会は重く受け止めなければなりません。これは過去5年間、和平が暗礁に乗り上げるなかで、イスラエルによる土地併合が一方的に進んでいる実態と、パレスチナの経済状況ばかりか社会状況までが悪化の一途をたどっていることに対して、人々が強い抗議の意志を表したと理解すべきです。

このような観点に立ち、私たちは以下のようなことを関係当事者に求めます。


1. イスラエル政府が現実を直視して、ハマスとの対話を拒否しないこと。ハマスが、イスラエルとの共存という現実的な立場に立つこと。
2. 選挙結果に対して、米国やEUなどがパレスチナ支援の停止や縮小を公言するなど非建設的な国際社会の介入が心配されていますが、日本政府が対パレスチナ支援を継続すること。
3. 今後パレスチナ内部で、ファタハとハマスの対立が激化し、混乱に一層の拍車がかかることが懸念されます。アッバス議長の率いるファタハが、目先の利害にとらわれずに、パレスチナ人全体の利益という視点からハマスと協力して当面の混乱を乗り切ること。
4. 宗教的な影響力が強まることによって、外国NGOの活動が一定の制限を受けることは十分に危惧されることです。予想されるハマスを中心とした政権が、NGOなどの市民の活動を尊重し、排外的になることなく国際社会の一員としての自覚を持つこと。また他者に対して寛容で開放的なパレスチナ社会の伝統を継承することを強く望みます。

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