過去のメールメッセージ 2003.1〜2003.3
2003/3/29
STOP劣化ウラン戦争−戦争支持の撤回を!
 米軍が劣化ウラン弾を使用していることに対し、被爆国日本の国民として、声をあげていかなくてはならないと思います。イラクでは、今後地上戦、対戦車戦が激しくなるにつれ、劣化ウランが大量にばら撒かれ、国土を汚染し、過去の人類史を上回る未来にわたって、いのちを蝕んでいくことになります。
 12年前の湾岸戦争においても、地上戦に参加した米兵に、そしてその子どもたちにも、劣化ウランによるとみられる重大な健康被害が発生しています。(イラクの化学兵器によるものと思われていますが、その方が根拠が薄い)日米安保や新ガイドラインが進められる中、本当に北朝鮮有事が心配されるのであれば、米軍と一緒に戦う日本人にとって他人事ではありません。今の合衆国の首脳は、ベトナム戦争にも参加したことのない面々だそうですが、前戦に送られる兵士の命を消耗品と軽く見て、その人間性と未来を破壊する戦争は、何を持っても避けなくてはいけないものとあらためて痛感します。
 今からでも、一刻も早くこの戦争をストップする必要があります。

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 ニューズレター:アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン
============ No.5 (03.03.25) ===============

 前号のニューズレターで、米軍のジェームズ・ノートン大佐がブリーフィングで劣化ウラン弾の使用宣言を行ったことを紹介しましたが、ニューズレター配信翌日の26日、米中央軍のブルックス准将が記者会見を行い、イラクでの劣化ウラン弾を使用を公式に認めました。
 「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」のサイトで、これについて批判をしています。前号の内容を補足するものとして、この記事を転載しておきたいと思います。
 イラクでの劣化ウラン弾使用が公式に確認され事実になった以上、日本政府に対して、このようなアメリカの劣化ウラン戦争、放射能兵器を使った戦争を支持するのかと、強く追及していくことが必要だと思います。

(以下、http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/stop_du_war2.htm より転載)
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米軍当局劣化ウラン弾の使用を公式に認める−−−−−
劣化ウラン戦争を直ちに中止せよ!
小泉政権は放射能兵器、特殊核兵器使用を支持するというのか!
即刻「対イラク戦争支持」の撤回を!


■劣化ウラン戦争、「特殊核戦争」を今すぐやめよ。
 米中央軍のブルックス准将は26日、記者会見を行い、イラクで劣化ウラン弾を使用したことを初めて公式に認めました。開戦前に米軍当局は使用を宣言していましたが、はっきりと認めたのです。イラクの民衆と国土を放射能で汚染する放射能兵器、特殊な核兵器を使用したのです。私たちは断じて許すことができません。彼らは12年前にも湾岸戦争で使用しバスラを中心に被曝の悲劇を押し付けたのです。二度までも平然と使うとは!明らかな戦争犯罪です。即刻劣化ウラン戦争を中止すべきです。
※「劣化ウラン弾使用認める、イラク人捕虜4千人 米中央軍」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0327/002.html
※「劣化ウラン弾の使用認める 米中央軍」(共同通信)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq2/news/0327-324.html

■小泉首相は「核戦争」を支持するのか。
 劣化ウランについては、これで“可能性”や“恐れ”の話ではなくなりました。“現実”、“事実”となったのです。つまり繰り返される小泉首相の「イラク戦争支持表明」は、現に起こっている劣化ウラン戦争への支持、「特殊な核兵器」を使った「放射能戦争」「新しい形の核戦争」への支持となったのです。「被爆国」日本の責任として、これほど犯罪的なことはありません。広島・長崎の被爆者、日本と世界のヒバクシャをこれほど愚弄するものはありません。即刻「支持」を撤回すべきです。

■すでに都市部周辺で使用。湾岸戦争とは異なる都市部での直接的被害がすでに生じている恐れ。
 これまでの戦局を見れば、劣化ウランが使われたのは都市部周辺であることは確実です。湾岸戦争の時のように、南部の砂漠地帯ではありません。現時点で、すでに都市部周辺が劣化ウラン、放射能で汚染されている危険があります。私たちが恐れていた人口密集地での使用が現実のものとなっているのです。しかしこれも首都での決戦が始まれば、首都そのものが劣化ウランで汚染される恐れがさらに増大するのです。

■劣化ウランの本格使用、大量使用は地上戦が始まるこれから。
 ブルックスはとんでもない開き直りで劣化ウランと放射能兵器に反対する国際世論に挑戦しました。「非常にわずかな量」だと言うのです。もしそうなら、いつ、どこで、どれくらい使ったのか明らかにすべきです。彼は使った日時も、場所も、量についても一切触れませんでした。しかしこれはある意味で当然のことです。対戦車戦がまだ本格的に勃発していないからです。
 しかし首都バグダッドで、本格的な地上戦が差し迫っています。米CNNテレビは26日、首都バグダッドから南下したイラク軍戦車を含む軍用車両約千台が、首都南方160キロのナジャフに向かい、北進中の米陸軍第三歩兵師団との間で、首都攻防の前哨戦となる激しい地上戦に突入する可能性があると報じました。もし地上戦が本格的に始まれば、とんでもない劣化ウラン戦争になる危険があります。
※「首都南方で戦車部隊衝突へ イラク機甲師団が南下」(共同通信)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq2/news/0327-314.html

■「劣化ウランは安全」と開き直る。
 しかしブルックスは「安全なもので、これまで考えられてきたような危険性はない」と開き直りました。彼らはどこまでシラを切るのでしょうか。放射能被曝特有の症状で苦しむバスラの民衆、白血病や癌で苦しむ子どもたちの現実を全く直視しようとしない非人間性。怒りを抑えることができません。

■ますます疑惑が深まる硬化目標攻撃用(貫通型)爆弾への劣化ウラン使用。
 ブルックスは、私たちが疑念を抱いている硬化目標攻撃用(貫通型)爆弾については明らかにしませんでした。しかし疑いはますます深まるばかりです。私たちは今後も追及と監視を続けていきます。
※「劣化ウラン戦争を許すな!米軍当局が対戦車砲弾に劣化ウランを使用すると明言 劣化ウラン疑惑の硬化目標攻撃用(貫通型)爆弾も大量使用」
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/DU/stop_du_war1.htm

■国連報告が示す都市部での劣化ウラン汚染の危険。
 26日のブルックスの記者会見と相前後するように、国連環境計画(UNEP)は25日、1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で米軍などが使用した劣化ウラン弾に関する報告を発表しました。それによればこれまでの国連報告と同様、対米配慮をきかせ「環境や人体に直ちに危険を及ぼすものではない」というものですが、使用から約7年が経過したにもかかわらず、(1)地中に埋まった劣化ウラン弾が腐敗し、地中を通じて地下水の一部を汚染したこと、(2)一部の建物内部で大気中から微量の劣化ウランを検出したこと、(3)7年間で劣化ウラン弾の約25%が腐食しており、完全に消滅するまで25〜35年を要するとみられることなど、衝撃的な内容が含まれています。
 この報告は、根本的な欠陥を持ちますが、都市部や人口密集地で劣化ウランを使うことがどれほど危険なものかを改めて示すものです。
※「大気や地下水に劣化ウラン ボスニア紛争で国連報告」(共同通信)
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20030326/20030326a3150.html
※Low-level DU contamination found in Bosnia and Herzegovina, UNEP calls for
precaution
http://www.unep.org/Documents/Default.asp?DocumentID=298&ArticleID=3926
 報告の全文はUNEPのこのホームページに掲載されています。


2003/3/28
パレスチナ、そしてイラクへの日米の対応に関する質問に答えて
Q1
シャロン首相は「全国民は防毒マスクを携帯するように。」と演説したようですが、これ はイスラエル人だけであって、パレスチナ人には適応しないのでしょうか? それとも当然のこととして全国民なのでしょうか。?


 まず、「ユダヤ法」に則り、宗教立国を国是とするイスラエルで言うところの「国民」とは、原則的にユダヤ人を指します。ただし、キリスト教徒を含むアラブ系住民も、法的にも差別されていますが、(2級)市民として存在は認められています。

 ここで、厳密な定義は難しいのですが、大雑把に整理すると、
ユダヤ人=ユダヤ教に入信した人あるいはユダヤ人を母親に持つ人。建前的にはアブラハムの子孫ですが、実際見ていても「人種」はマチマチで、アングロサクソン系、東欧系、スラブ系、そしてアフリカ系黒人など多種多彩です。また、海外に住むユダヤ人も国民として認められ、それがこの地域の人口構成に大きな意味を持っています。選挙になると世界中からユダヤ人が集まって来ます。
アラブ人=アラビア語を話す文化圏の人。多くはイスラム教徒ですが、キリスト教徒も少なからずいます。
パレスチナ人=「パレスチナ」とは現在のイスラエル国土とパレスチナ自治区を合わせた地域の名前。そこにイスラエル建国以前に住んでいた住民とその子孫を指します。ただしそのうち「パレスチナ」というアイデンティティを認めないユダヤ人は、ユダヤ人であってパレスチナ人ではないという意識をもっているので、除外していいでしょう。キリストもパレスチナ(現・ヨルダン川西岸地区内)の生まれですから、パレスチナ人です。また、イスラエルの建国により難民になったパレスチナ難民が、周辺のレバノン、ヨルダン、エジプトなどを中心に300万人以上いると言われています。
ムスリム=イスラム教徒。
ということになります。ですからシャロン首相が「全国民」という場合は、狭くはユダヤ人住民、広くはイスラエルの市民権を持つ住民とみるべきでしょう。西岸・ガザもイスラエルは領有を主張していますが、現在そこに住むアラブ系住民は排除すべき対象とみなしていますから、彼らは当然含まれないでしょう。
 しかし、「防毒マスクの携帯」を促す発表は、その実効性というより、人々に不安感を与え、イラクやパレスチナ人に対する敵意を煽り、国際社会にそのことと自分たちが守られるべき被害者であることを宣伝するという意味が最も大きいと思います。
 また、当然ながら、心情的にもイラク側につくパレスチナ人を、世界的にも制裁の対象に仕向けて行こうとします。比較的中立で見識あるイスラエル紙「ハーレツ」でも、「パレスチナの抵抗者が、サダム・フセインにテルアビブを攻撃するよう要請している」という記事を大きく載せています。
 9・11の時も、パレスチナ人が喝采している映像が流れましたが、イスラエルにとっては、このイラク戦争が、パレスチナ人を叩き潰す千載一遇のチャンスでもあるのです。

Q2
アメリカの中東に対するやり方 には疑問を感じます。派遣されてる兵士の意志はどうなんでしょう?


 現実に国際法も国連決議も無視して、パレスチナ自治区を侵略し、大規模な破壊や虐殺、日常生活や医療活動への過酷な妨害を続けているイスラエルを容認というより、今ではその正当性まで支持するアメリカの政策は、ダブルスタンダードというより、アメリカの敵か味方かで判断するユニラレラテラリズムが唯一のスタンダードになっていると言えます。

 米兵についてですが、まず、軍隊では兵士の「意志」はありません。「命令」に従うのが原則です。ですから日本の自衛隊が「軍隊」でないのは、命令に従わなくても、敵前逃亡しても、組織内での制裁は受けても、それだけで「刑務所」に収監されることはありません。
 そして昔金大中氏が言ったように「軍隊にはライバルという発想は無く、あるのは敵だけ」です。実際その場に行けば、殺らなければ殺られるわけです。
 また、常識的には非常に考えにくいことですが、アメリカ国民の半分近くは「9・11はフセインがやらせた」「フセインはアルカイダのスポンサーだ」という話を信じきっているとも言われています。だとすれば、彼らの正義感には迷いはないかもしれません。
 もちろんそうは言っても、好き好んで戦場に行く人はごく一部で、ほとんどはしかたなく参加しているわけです。しかし、戦争は人間を変え、人殺しを正当化するしくみをもっています。
 目の前の敵を、非戦闘員を含め、人間でなく鬼として見るようにしむけます。私はパレスチナで、そんなイスラエル兵と何度も顔を突合せました。
 そして、とってもイヤなことですが、「人種差別」があることも現実です。

Q3 
戦争だけは 避けるべきなのに。日本の対応も情けない。北朝鮮はどうなるのか。人間は戦う動物である限りなくならないのか。笑える動物でもあるのになー。


 日本では(アメリカにとっても日本を味方につける上で好都合なのでしょうが)北朝鮮問題と結び付けたがりますが、内容的にも地理的にも別のものであると考えます。もともと分裂国家としての北朝鮮の直接の敵は韓国です。イスラエル(現政府)の言う「平和」=パレスチナ人がいなくなること、のように、北朝鮮は「統一」=韓国政府の崩壊、をめざしていたわけです。その矛先が日本に向いてきたとすればそれは何故なのかということを私たちはもっとよく考えるべきでしょう。
 イギリスの統治下にあったパレスチナが分割されてしまったように、日本の占領下で主権が無いために分断されてしまった朝鮮半島という事実からも、私たちは責任ある対応を求められています。
 「戦争の放棄」というすばらしい憲法も、それが「中立」ではなく「日米同盟」に支えられているという「欺瞞」の上に建つものでは、単なる「無責任」で終わってしまいます。本来の主権を取り戻し、国民としての責任を果たしていくことが、真の国際貢献、北東アジアの平和へのプレゼンスになります。
 だから今、市民の運動が非常に大事であり、正念場だと思います。
2003/3/27
知らせたくない力
 人間が人間に対してここまでできるのか?と、心が重くなるパレスチナの状況をお伝えしておりますが、先日ある方から次のような問いかけをいただき、私なりに返答いたしました。

> こんな現実が果たして世界のどこかで本当に起こっているのでしょうか・・
> 涙がでます。
> なぜなの?
>             S


 人間だれしも欲があり、(全部だとは思いませんが)他者を支配したいという気持ちはあることは認めていかなくてはなりません。しかし一方で、それが結局は自分自身をも不幸にすること、そしてそれを克服することで人間は向上していくことを、計り知れない悲劇を経験した歴史を通して人間社会が学んできたことも間違いありません。
 それでも、人間が人間に対して残虐な行為をする。それを社会が抑止することができない現実がいまだになくなりません。それなりに世界が注目しているはずの地域において、しかも史上最悪の人権侵害を経験したと自認するユダヤ人たちによって行なわれています。21世紀の真っ当な感覚の人が世界中からランダムに集まり、この現実をそのまま素直に見れば許してはおかないでしょう。何が問題なのか、少なくとも兄弟喧嘩でも経験したことがあれば、子どもだってわかります。
 「なぜ」このようなことが、今の時代に起こりうるのか?と問われれば、私たちのかかわりから見れば、多くの人々が「知らない」からだと思います。
 私たちパレスチナにかかわるNGOは、とにかくまずこの現実を知って欲しいと努力していますが、それを遮ろうとする壁があります。その情報が都合の悪い人々による妨害もあります。また、伝えようとする相手の中にある先入観や、これまでの知識や感覚を否定されたくないという気持ちを感じることもしばしばあります。そういう人々の立場や気持ちも尊重しながら伝えようと努力していますが、本当に難しいのが実感です。
 しかし私たち以上に、知ってほしいと切実に願っているのは、抑圧され、消されようとしている人々です。彼らの本当の状況、本当の声、本当の願いはほとんど伝わりません。だから彼らは、知ってほしいという願いからも、爆弾を抱えて訴えるのです。結局それは彼らを「テロリスト」として知らしめる結果になります。
 そこには「知らせたい人」と「知らせたくない人」の力の差があまりにも大きいことがあります。力とは、その場における「力」の差だけでなく、政治経済の力であり、情報宣伝の力です。その力は、世界の隅々まで「善男善女」を支配しています。ありきたりの「良心」ではとても太刀打ちできない絶妙な支配です。
 虐殺されるパレスチナ人も、爆撃や劣化ウランで死んでゆくイラクの住民も、飢餓にさらされる北朝鮮の人民も、邪魔者の付属物であり、格好の「見せしめ」であり、そして、おまえはどっちにつくのかという脅しに使う、世界支配の道具になっています。そんな支配を素直に受け容れる、自己の利益と保身に熱心な小悪党を放っておく国民は、その支配の構造を形成している一員であるのです。
 永田町や丸の内にもたくさんいる、その構造を自然な感覚で持つ人々は、パレスチナの現実を認めようとしないか、それは自業自得、良くてもしかたがないことと、平気で言ってのけます。「なぜ」という問いかけをしない人たちがこの国の政治経済から地域のリーダーとして、支配力や影響力を持っているのです。
 いま、世界中で何千万という人々が、声をあげています。しかし、それは世界の人口からすればまだまだ少数です。日本の割合は、欧米に比べさらに低くなります。もちろん実際に行動を起こす人は、どこでもそれほど多いわけではなく、それに賛同する人がどれほどいるのかはわかりません。実際に多くの人は、そんな声が上がっていることすら知りません。イラク攻撃反対のピース・アクションが、新聞の1面に出たのは異例のことで、通常は、まともに報道されることはありません。そんなのはごく一部の反体制派として扱われ、一般の人々から遠ざけられます。ここでも「知らせたくない」側の力が強いのです。
 さらに、このような運動にかかわると会社や一般社会で「サヨク」のレッテルを貼られ、社内人事や商売のマイナスになるという圧力があります。
 このように、多くの人は意識的あるいは無意識に「力」の側につくことで、世界的な支配構造を支えていると言えます。
 こんな悲観的な思いもありますが、私自身は、一つには伝えていくことが、知った者、知ることができた者の責任と考えています。そして、人間だれしも呪縛と支配から自由になり、正しい情報と自然な環境があれば必ず正しい選択をしていくものと信じています。

大河内秀人
2003/3/26
ふたたび劣化ウラン弾の恐怖にさらされるイラク
 過日、アフガニスタン劣化ウラン被害調査のご協力のお願いを致しましたが、アメリカはイラクにおいて劣化ウランを使用することを公言しています。
 過去の例から見ても、劣化ウラン弾は明らかに核兵器です。ものを破壊し人を殺す武器としては優れた物質ですが、放射能により世代を超えていのちを蝕む核兵器です。
 イラクの人々がふたたびその危険にさらされています。
 ぜひ以下の記事をご覧下さい。

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ニューズレター:アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン
============ No.5 (03.03.25) =============

 アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーンの吉田正弘です。とうとう、アメリカはイラクに対する不当極まる無法な戦争を始め、イラクの人々に再び劣化ウランを使用し始めました。一度ではなく、二度までも!怒りを抑えることができません。私たちはこの侵略戦争、そして何よりも劣化ウラン弾=特殊な核爆弾を使った無差別大量虐殺を人類に対する罪として告発し糾弾しなければなりません。

(1)米軍当局が劣化ウラン弾の使用を公式に表明。
 まず、戦争に先立って米英両政府とも劣化ウラン弾の使用宣言とも言える態度表明を行いました。使っているか否かではありません。使うと宣言したのです。
 アメリカ国防総省は、開戦直前に劣化ウランの使用禁止を求める世界の世論に挑戦するかのように劣化ウラン弾の使用を宣言しました。3月14日米軍マテリアル・コマンドのジェームズ・ノートン大佐がブリーフィングで明らかにしたものです。劣化ウラン弾はタングステン弾よりも対装甲弾に適している。劣化ウランについて誤った考えが幅をきかせすぎている。健康に対する影響などない等々、完全な開き直りです。
 http://www.defenselink.mil/news/Mar2003/t03142003_t314depu.html
 イギリス政府も、湾岸地域に劣化ウラン弾を配備し、劣化ウランを使うことを認めています。
 http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,3604,895223,00.html

 以上の米英政府の表明は、今のところいずれも対戦車兵器としての劣化ウラン弾についてです。しかしこれで従来から劣化ウラン製であることが明らかにされ、12年前の湾岸戦争でも使われた対戦車砲弾、対戦車機関砲弾についてはすでに大量に使われていることが明らかになりました。イラク全土で展開中の地上戦でアメリカのM1戦車、イギリスのチャレンジャー戦車が戦闘の最前面にたって発砲を到るところで行っています。その中にはイラク軍戦車に対する発砲の報道も含まれています。これらの主砲弾のうち特に対戦車・対装甲用の砲弾は劣化ウラン製です。ロイターで劣化ウラン製と思われる対戦車砲弾を兵員が素手で扱っている写真が流れています。
 http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/030321/170/3l016.html

 また、対戦車攻撃機A−10の出動も報道されています。A−10は対戦車攻撃を主任務とし、その機関砲弾は4発の劣化ウラン弾と1発の炸裂弾を工場で混合して出荷されています。A−10の出撃と攻撃への参加は確実に劣化ウラン弾の発射を意味します。その他に劣化ウラン弾を発射できるアパッチヘリ、ハリヤー、AC-130なども出撃し攻撃を繰り返しています。
 米英軍がイラクの南部を中心とするイラク全域に劣化ウランを発射していることは確実です。劣化ウラン弾の発射量はまだわかりませんが、砂漠の中が戦場だった湾岸戦争の時と比べはるかに都市に近い、住民の多数住む地域で劣化ウラン弾が使われていることは確実です。環境と人体への影響は極めて深刻なものになると思われます。(湾岸戦争での劣化ウラン弾の使用は約100万発、320トンというのが米国防総省の発表です)

(2)疑惑が指摘されている硬化目標攻撃用(貫通型)爆弾も大量使用。
 私たちが劣化ウラン製である疑惑を提起してきた硬化目標攻撃用(貫通型)の爆弾もすでに大量に使われています。アメリカ軍はバグダッドに対して1日目、2日目に巡航ミサイルを中心とする攻撃を集中しました。その後空爆の規模はいっそう拡大しています。報道では20日の開戦から23日までの4日間で発射された巡航ミサイルは計約500発に上るとされています。現時点で湾岸戦争時の約290発を上回っているのです。
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030325-00000033-kyodo-int

 開戦当日のフセイン大統領暗殺をねらった攻撃はF-117ステルス攻撃機に搭載した「バンカーバスター」によると報道されています。新聞報道などで「バンカーバスター」と呼ばれる場合、様々な硬化目標用(貫通型)の誘導爆弾を示していますが、それらはすべて劣化ウランでできている疑惑に包まれています。戦争当初の空爆、特にバグダッドに対する空爆は巡航ミサイルを中心とするものでした。南北の「飛行禁止地域」では対空火器やミサイルシステムがすでにこれまでの「平時の」空爆で破壊されてしまっているのに対して、バグダッドの対空システムが生きているために、攻撃機を差し向けると撃墜される恐れがあったためだと思われます。500発といわれる巡航ミサイルはB-52からの空中発射巡航ミサイルと海上の艦船、潜水艦から発射されたトマホークミサイルですが、これらの中にもやはり疑惑のある貫通型が含まれています。コンクリートで固めた施設や建物を攻撃する場合、貫通型の弾頭を持つ巡航ミサイルが使われるのです。イギリスの劣化ウラン兵器研究者ダイ・ウィリアムズ氏によれば、この貫通型の巡航ミサイルの弾頭も劣化ウラン製です。
 バグダッドに対する巡航ミサイルの集中攻撃と同時に、イラク南部、北部の地域に対しては誘導爆弾の雨が降らされています。バグダッドも3−4日目から航空機による爆撃を受けるようになってきました。使われている誘導爆弾の数は1500発とも2000発ともいわれています。(米統合参謀本部のマクリスタル作戦副部長は21日の大規模空爆で、爆撃機などが1000回以上出撃してイラク全土の数百カ所を攻撃し、500発以上の巡航ミサイルを発射し、数百発の精密誘導爆弾を投下したことを明らかにしている)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030324-00000070-mai-int

 これらの爆撃の様子はテレビではあまり取り上げられていません。しかし実際には空爆の主流は誘導爆弾に移っています。そしてこれが各地で住民、子どもに多数の被害者を生んでいるのです。この誘導爆弾のうちかなりの部分が硬化目標攻撃用です。空母キティーホーク上の攻撃機や格納庫に置いてある爆弾の写真が配信されていますが、GBU-24という劣化ウラン製が疑われる硬化目標攻撃型の爆弾を搭載して攻撃機は出撃しています。これらの爆弾がコンクリート製の施設(軍事施設の多くはコンクリートで防護されています)や地下施設の攻撃用に使われています。
 http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/030321/170/3kx1n.html
 http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/030321/168/3kwoc.html

 これらの硬化目標誘導爆弾が疑惑通り劣化ウラン製でれば、GBU-24(1トン爆弾)で最大750kgの劣化ウランを含みます。仮に500発使われればそれだけで湾岸戦争で使われた全劣化ウラン弾の量を超えます。これがイラク全域、とりわけ人口密集地のバグダッド周辺でばらまかれた場合に環境に与える影響はきわめて深刻です。

(3)「バグダッドの虐殺」が起こる前に戦争を止めよう!
 開戦2日目のバグダッドの大規模な空爆と破壊は目を覆うようなものでした。しかし、実際の空爆による被害はテレビで報道されている所よりも報道されない所で、より深刻になっていると思われます。バグダッドの被害も日を経るごとに深刻になっていますが、報道関係者のいない地区での空爆は、米英側が完全に制空権を握っているので相当の破壊行為が行われているはずです。米政府は、精密誘導だから心配ない、軍事目標を狙ったから云々と、あたかも民衆に及ぼす被害を最小限にとどめているように宣伝していますが、それはまったくウソです。現に24日当たりから目を覆いたくなるような映像がアルジャジーラ・テレビなどを通じて世界に配信されています。

 アフガニスタンでの空爆の民間人の犠牲者を数え続けているアメリカのマーク・ヘロルド教授の仕事は誘導爆弾の危険性を明確に示しています。アフガンでも投下された爆弾はほとんどが誘導爆弾でした。ところがこの誘導爆弾で3500人前後の民間人が殺されました。アフガン戦争で殺された兵士の数は推定1万5千人程度、その中で空爆によるものはもっと少ないと考えられるので、アフガンでは大雑把にいえば兵士3人を殺すために民間人1人が空爆で殺されたことになります。いまイラクで起こっているのは民間人居住区に布陣するイラク軍に対する攻撃です。その意味では空爆によって殺される民間人の比率はもっと高まると思われます。この結果は一部では出てきていますが、まだほとんど報告されていません。

 空爆だけでなく地上戦でも兵士と民間人が一緒に攻撃され殺されています。アメリカ軍の作戦は「イラク軍はすぐ降伏するだろう」「民間人は米軍を歓迎するだろう」「フセインはすぐに自壊するだろう」との憶測を前提に立てられたものです。ところが実際の様相はこれとは全然違うことが明らかになりつつあります。南部のバスラに入れないばかりか、占領したと宣伝したファオなどで抵抗が何日も続いています。人のいない砂漠は戦闘なしで進めても、都市部に入ろうとした途端、抵抗に遭遇し立ち往生しているのです。住民も米軍に迎合する人がほとんどいないことが明らかになっています。
 しかしこうしたアメリカの傲慢な軍事作戦の結果こそが危険なのです。彼らが予想外の抵抗で出血や遅延を迫られたり、余裕を失ったとき、必死になった米英軍が本性をむき出しにするからです。そうすれば見境なしに大虐殺に進む危険が一気に増幅されるでしょう。相手を甘く見ていた焦りが、大量虐殺の危険を招くのです。私たちは「バグダッドの虐殺」が現実味を帯びてくることを何よりも恐れます。

 バグダッドの市街戦といってもアメリカ軍は本気で市街戦をするつもりがあったようには見えません。「バグダッドを包囲すればフセインは降伏するだろう」というのが米英軍の作戦と言われています。しかし降伏しなかったらどうするのでしょうか。こんな状況で本当に市街戦に突入すれば米英は何をするか分かりません。抵抗が激しくなればなるほど逆上した米英軍は残虐行為に出るでしょう。現にラムズフェルドは、都市の住民を化学兵器である「無力化ガス」で攻撃して進むことを示唆していました。これはロシアの劇場で民間人100人以上を殺した悪名高い「殺人ガス」です。「イラクの大量破壊兵器」といいながらアメリカ自身が大量破壊兵器である毒ガスを使うつもりでいるのです。

 恐怖に襲われた米英兵士は、市街戦では子供も女性も周りで動くものはずべて敵に見えます。昨年4月のパレスチナ・ジェニンでのイスラエル軍による虐殺がそのことを示しています。だから「自己防衛」を理由に、バグダッドを一旦廃墟にしてから突入する可能性があります。しかもその後に激烈な市街戦が始まればどうなるか。文字通り死体の山をバグダッドに築くことになるのです。

 「バグダッドの虐殺」が起こる前に戦争を止めよ!とにかく一刻も早く米英の侵略戦争を止めなければなりません。私たちも決してあきらめることなく戦争が続く限り、戦争を止めるための行動を続けましょう。また劣化ウランを使った戦争の実情を世界に知らせ、戦争犯罪を暴いていかなければならないと考えています。この一つの方法として私たちの署名運動の署名・オンライン署名を「アメリカの対イラク戦争・劣化ウラン戦争と日本の加担・有事法制に反対する緊急署名」に改訂しました。ご協力をお願いします。

2003年3月24日

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アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン
URL:http://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/umrc.htm

連絡先
 アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
 大阪府松原市南新町3-3-28阪南中央病院労組気付
 FAX 072-331-1919
 090-5094-9483(事務局)
 e-mail stopuswar@jca.apc.org
 090-5016-3844(吉田正弘)e-mail masayo@silver.ocn.ne.jp
 URL:http://www.jca.apc.org/stopUSwar/
2003/3/25
報復しない生き方はできるか?<「非戦」メンバーの問いかけに答えて
 そりゃァ、あたしだって仕返ししてやろうって思うことはしょっちゅうだし、せこいレベルでは結構やってきたし、えらそうなこと言える立場じゃァないです。でも、そんな当たり前の人間だってことを自覚して、自分もそうだし、みんなそうだって認めちゃうことは大前提だと思う。だけどその感情を行動にしちゃった日にゃあ、もっとややこしいことになるし、結局自分自身が苦しむってことも、歴史や経験や理性によって「理解」することはできる。そんでもって、その客観的な理性をルールにして、文明社会の到達点が高まってきたはずなんだけどね。

 昨日までお彼岸だったけど、本来「彼岸」(彼の岸べ)ってのは「此岸」(こっちがし・迷いの世界)に対して覚りの世界のこと。そこに至るため中日(春分の日・秋分の日)を挟む一週間は、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧という六種類の徳目を実践しようって期間なんだけど、何の因果か戦争おっぱじめるなんて最悪だよね。まあキリスト教原理主義くずれに言ったってしょうがないけど。
 そん中で「忍辱(にんにく)」ってのは、堪え忍ぶこと。何を堪え忍ぶかって、それは昔テレビでやってた熱湯の風呂に堪えるとかじゃなくて、「怒り」「怨み」を鎮め、「侮辱」に堪えることなんだね。法句経というお経に「この世の中では、怨みは怨みによってでは決して解決しない。怨みは怨みなくして静まる。これは永遠の真理である」って書いてある。ほかにも怨みについて書かれ、戒めた文句がたくさんあるわけで、それだけ永遠のテーマだったってことなんだろうね。こんなことが言われだして2000年以上経ってるわけだけど、いまだにどんどんその災いの規模が大きくなってるわけだし、まあほとんどの戦争が始まるときは、本当の理由はどうあれ、怨みを国家的に共有するところからだと言えるんじゃないかな。

 政治経済は、怨みとか欲とか、そういう人間の弱さを「肯定」して、人々を動かして行くんだ。それに対して宗教は、怨みとか欲を「認識」して、それを滅して行くことが幸福への近道だと教えている。だから釈迦もキリストもおそらくマホメットも、決して最初から聖人なんかじゃなくて、ちょっとパラノでストイックだったってことは言えるけれど、怨みや欲に悩みに悩んだんだ。仏教で言えば、貪り・怒り・無知という3つの煩悩(今のブッシュはまさにその権化だ)を持ったどうしようもないダメな人間なんだけど、それを謙虚に自覚し、自制して正しく生きれば、その先には必ず、明るい浄土がひらけるのだという信仰に行き着き、それをみんなの夢にしていった。

 田中優さんが「平和ってのは、絶え間ない侵略の欲望に対し、抑制が勝っている状態を指すだけだ」って書いてたよね。それは個人のレベルでも組織や国家のレベルでも同じわけで一人や一国だけではむずかしい。欲望や怨みを捨てきれない自分だけの力では無理だから、そういう文化やルールを育てて築き上げていくことしかないんだ。そして、人間が新しくどんどん生まれてくる限り、煩悩も果てしなく増殖するから、それを絶え間なく続けていかなくちゃならない。
 「非戦」っていうのは「生き方」だけど、そういう生き方ができる環境をつくっていく「意志」であり、他者の命を奪っていくような欲望を「無効化」するオルタナティブな「極楽浄土」のリアリティを示していく運動だと思ってるよ。

 報復しない生き方ができるかって言われたら、絶対の自信なんてぼくにもない。でもぼくにとって報復は絶対にしてはいけないことなんだ。
 武士だった父親を領地争いの夜討(いわゆるテロだ)で失った法然が「恨みが怨みを呼ぶ仇討ちなど考えず、全ての人が救われる道を求めよ」という父の遺言を一生のテーマとして、最終的に極楽浄土への念仏信仰を確立した。もちろん史実はそんな単純できれいなものではないだろうが、その浄土宗の坊主として、報復は絶対にすべきではないと確信はしている。
 それは単に、教義に則って言っているんじゃない。体験と実感に基づくものなんだ。それは、知恩院や比叡山での修行(といっても禅宗や密教系のような「苦行」じゃないけど)とか、大僧正や大正大学の教授の話なんかじゃない。カンボジアやルワンダやイスラエル・パレスチナで出会った、「怨み」を乗り越えて生きていかなくちゃならない人々との出会いが教えてくれた。元従軍慰安婦や強制連行され北海道の炭鉱で死ぬ思いをした韓国人には、日本人である自分自身が怨みの対象でもあった。
 そういう「怨み」を心底感じて、絶望的な闇、報復が生み出す未来の闇のリアリティの中に身を置いてこそ、なんか頼りないんだけど、自分たちで点す小さな光が輝いてくる。イケイケドンドンの下品なライトアップの中では気づきにくい光。あるいは、遥か彼方だけれど、平行線も交じり合うことができる世界がある。浄土経典でいう十万億土(「土」というのは世界という意味で、インド哲学で言う世界とはたぶん銀河系くらいの大きさ)を超えた先にしかない光の世界を信じることができるようになった。フィクションではなく真実なんだ、それは。

 800年前の法然や親鸞は、この絶望的な距離感、自己の煩悩の深さを自覚して、平安末期の戦乱の世の中で、「凡夫」のために「他力本願」の念仏で極楽浄土への救いを示したってわけだ。でもあくまでも、覚りの境地や極楽浄土は理想ではあるけれど、あくまでも主体は「人間」なんだ。一人一人の生き方の中にしかほんとの救いはないんだ。
 マオイズムも理想を示したけれど、結果的に人民が主役じゃなかった。800年前は他力本願にすがるしかなかった。だけど今は違う。絶望的な十万億土だけど、理想に向かって、1歩でも1ミリでも自分の足で進むことができると思う。報復はその行き先を狂わし、逆行させてしまう。だからぼくは報復はしない、はずだ。
 そして一人で進むことはけっこうつらいけど、「非戦」という「サンガ」は、そんなぼくをとてもエンカレッジしてくれる。報復しちゃうかもしれないという不安と迷いも共有しながら。

大河内秀人
2003/3/20
緊急声明:イラク侵攻になぜ反対するのか
■□■□■ 緊急声明 ■□■□■

アメリカ・イギリス・オーストラリアなどによる
イラク侵攻になぜ反対するのか?

−− パレスチナ問題に関わってきた私たちの視点から−−
2003年3月20日
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン

 中東地域の平和は世界の平和につながると考えてパレスチナ問題に関わってきた市民の立場から、私たちは今始まろうとしている戦争への深い懸念と反対を表します。
 戦争はたとえどのような大義のもとであっても民間人の犠牲を伴います。そして戦争は暴力が許されるという雰囲気を生み出します。イラクの戦争は、イラク一国、あるいはイラクを侵攻しようとしている国の間だけの問題ではありません。中東ではこれまであまりに多くの血が流され、人命が軽んじられてきました。新たな戦争は、暴力が問題を解決するのだ、一般市民に犠牲が出ても仕方がないのだという気風をさらにこの地域に蔓延させます。実に、それこそがテロリズムの論理であったのです。
 私たちはパレスチナ問題に関わってきたものとして、この戦争に関する三つの大きな懸念を指摘したいと思います。

  一つ目は、この戦争によって払わされるパレスチナ人の犠牲の大きさについてです。
 前回の湾岸戦争の際には、パレスチナ占領地全域で数週間にわたる外出禁止令がしかれ、生活と経済が破壊されました。今回も、長い過酷な外出禁止令が敷かれるでしょう。
 現在の西岸・ガザでは、イスラエル軍のパレスチナ人に対する扱いは12年前よりはるかに過酷になっています。ゴム被覆弾や催涙ガスは戦車とミサイルにとって代わられ、家屋破壊とコミュニティの分断は一時的なものではなく、支配を永続化するために行われています。
 イラクだけに世界の目が注がれ、一方でイスラエル国民がイラク軍の報復攻撃への不安を募らせているなかで、どのような弾圧も正当化される恐れがあります。特にイスラエルの平和運動も私たちも恐れているのは、「移送(トランスファー)」とよばれるパレスチナ人の大量の追放が、イスラエル政府によって実施に移されることです。これは新たな難民を作り出すだけでなく、パレスチナに「民族浄化」を行って、人口バランスを改変し、歴史的風土をも破壊することになります。パレスチナ人の存在を認めたくない人たちにとって、今こそまたとない機会になるでしょう。
 すでにパレスチナ人の間では、食糧の買いだめが始まり、人々は不安感にさいなまれています。そして、イスラエルの刑務所や強制収容所に閉じ込められている1万5千人以上のパレスチナ人がまず、レバノン国境に連れて行かれ、追放されるのではないか、という不安も広がっています。もちろんレバノンはこれを受け入れないので、非常に多くの人たちが、無人地帯で食糧も寝るところもなく、国際社会もなすすべないまま、放置されるのではないかという心配があるのです(同じようなことが前の湾岸戦争のときに起こりました)。

 二つ目は「ダブル・スタンダード」の問題です。多くの人がすでに指摘しているように、イラクが国連決議に反した行動をとったことが攻撃の理由になるとしたら、同様に国連決議に反しているイスラエルの西岸・ガザの占領がなぜ問題にならないのでしょうか。イラクの大量破壊兵器開発が戦争開始の理由にできるのであれば、イスラエルはなぜ戦場用に作られた戦車や攻撃ヘリを人口密集地域で住宅や公共施設に対して使うことが許されるのでしょうか。
 パレスチナの人たちは国際社会が自分たちを助けてくれるのを待っていました。しかし、助けは来なかったのです。人権侵害を繰り返し、民間人に化学兵器を使うような支配者は当然問題にすべきですが、それはことイラクだけの問題でしょうか。ですから、イラクへの戦争を始める論理は、パレスチナの目から見たら完全に破綻しているのです。つまりイラク攻撃には理屈の通った説明がないのです。

 第三は、私たちが中東の人々をどのように見ているのかということです。先進国の多くの人にとって、中東とは、戦争と石油のイメージしかありません。そして、これから数週間の間メディアに現れる中東はやはり暴力と炎ばかりになるでしょう。パレスチナ問題が報じられる視線も、投石と発砲と自殺爆弾攻撃ばかりです。その結果、私たちは,ここにも人の暮らしがあり、私たちと同じように家族を愛し、希望を持とうとして生きいる人たちがいることを忘れてしまいがちです。戦争は、人の生命と尊厳を貶めるものです。それが中東で許されるということは、私たちが中東の人々の生命の価値を軽んじている証拠ではないでしょうか?

 大きな戦争が今始まろうとしていますが、しかし過去半世紀以上パレスチナが平和であったことはありませんでした。戦争がどれだけ早く終わろうとも、その結果、新しい国際会議が開かれ、破壊から再建のプロセスが始められようとも、犠牲を払わされる人がいるのです。なぜ、これ以上の犠牲が必要なのでしょうか。

 この戦争は中東の不安定さを増し、次の世代をになう子どもたちに間違った教訓を教えることになるでしょう。戦争から希望は作り出せないし、真の平和は遠のくばかりです。21世紀を戦争の時代にしてはいけないのです。
 日本政府は何の躊躇さえなく、米国の軍事行動を支持し、これに加担しようとしてます。先の湾岸戦争のとき以上に、多くの税金が戦費や破壊のあとの復興に投じられるといわれます。こうした政府の間違った選択に対して私たちははっきりと反対を示さなければなりません。

 それは、イラクやパレスチナだけでなく、日本や米国、イスラエルに住む子どもたちが、どのような未来を迎えるのかという問題でもあるからです。

************************************:
Campaign for the Children of Palestine
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
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2003/3/18
再考:イラク攻撃
 「構造的な暴力」というのは、一人の独裁者より遥かに恐ろしいということに、私たちは早く気づくべきでした。否、独裁者だけでなく、様々な権力の失敗や悲劇を踏まえて、人間社会の思想は深まり、暴力ではなく話し合いによって問題を解決する方向へ向けて、安全装置としての制度も出来上がってきたはずです。
 自分たちの「正義」(実際には「利益」)を邪魔するものは叩き潰す。止めるものがいなければやりたい放題。舎弟イスラエル政府が実証している「やったもの勝ち」を、これから「ご本家」が見せてやろうという勢いです。
 侵略国かつ被爆国という立場から、武力によらない平和貢献を志したはずの日本でも、暴力(軍隊)による問題解決を志向し始めています。結局、力のないものはやられてしまうんだという「あきらめ」が、「構造的暴力」に人々を巻き込んでいきます。しかし、振り返ってみれば(そして今からでも決して不可能ではないと思います)、「構造的」なだけに、私たちにもそれを止めるチャンスは確かにあったはずです。
 釈尊は7日間、菩提樹の下で、貪りと怒りと愚かさの「降魔」と戦い、それを打ち破って真の平安を達成しました。いま、まさに貪りと怒りと愚かさの権化とも言えるブッシュ政権に立ち向かって行く時です。私たちにそれほど時間の余裕はないようですが、連帯する仲間が世界にいます。今一度、釈尊がそうしたように、問題の構造を、事実に基づいて見極めるために、「正当性なき米国のイラク攻撃」の青山貞一さんからのメールをご紹介します。
 また、最後に日本の政治家のイラク攻撃に関するコメントを紹介します。
 今日から7日間、春のお彼岸です。

↓↓ここから青山さんのメール(抜粋)↓↓
◆正当性なき米国のイラク攻撃について
 〜ここ数日の米英の言動への批判〜 青山貞一


 ご承知のように米英は、国連安保理に出した新決議(修正案)が常任非常任9ヶ国以上の賛成が得られないことから、提案を取り下げ国連決議1441などを論拠として、イラクに武力攻撃を行なうことを宣言しました。自分たちが出した決議案が安保理で関係各国の承認を得られないから国連の存在を無視して先制武力攻撃に移ると言うのは、あまりにも身勝手な対応です。
 しかも武力攻撃の論拠としている決議1441(日本語、英語全文:http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/un-1441.htm)は、各国に都合良く玉虫色的な解釈が可能なものです。昨年11月当時、米国がロシアなどに利権面での根回しをしやっと全会一致にこぎつけた決議です。どうみても先制武力攻撃を許容する論拠となるような代物ではありません。米英西やその主張を追認する日本が金科玉条とするような決議ではありません。形勢不利とみるやそれらを持ち出し、国連決議なしで先制攻撃を行なう論拠とするところに、何が何でも他国を武力攻撃しようとする今の米国の理不尽さが出ています。
 ところでイラクが1990年以降、大量破壊兵器などの武装解除に全面的に対応してこなかったことは事実です。しかし、先に来日した米国人のイラク武装解除査察団のリーダー、スコットリッター氏が言明するように、1996年ごろまでにイラクにある90〜95%の大量破壊兵器が廃棄され(http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/ritter-speech-2003.2.htm)たことはかなりの確率で確証あることです。
 そして9.11以降の米国の対テロ戦争の後、突如行なわれたブッシュ大統領の一般教書における「悪の枢軸」発言を受け、急遽昨年秋から組織された新たなイラク大量破壊兵器の国連査察団により、残りの大量破壊兵器について順次武装解除が進められていることはまぎれもない事実です。フランス、ドイツ、ロシア、中国などが査察の継続によりイラクの大量破壊兵器を解除すると言う提案は、その意味できわめて現実的であり、被害が少ないものであり、各国の経済的負担の面から可能性が高いものであると思われます。
 米国ブッシュ政権がイラクへの先制武力攻撃にこだわる理由についてわたくしは、以下の「正当性なき米国のイラク攻撃」のなかで、多面的に、また具体的にデータ、史実を添えて論証してきました。
  http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/table-contents1.html
 要約的に言えばその主たる目的は、イラクが保有する大量破壊兵器による米国への脅威への対応ということより、米国が圧倒的な軍事力を背景に、@盟友イスラエルの中東におけるプレゼンスを一層高めること、A同時に世界第二の埋蔵量をもつイラクの石油資源を掌中におさめること、Bさらに中東諸国に「米国流民主主義」を押しつけることにあると思えます。
 圧倒的な軍事力:http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/newyearcolum2.html
 エネルギー権益:http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/newyearcolum3.html

 米国は自らの世界戦略のためには、たとえばイランを崩壊させるためにイラン・イラク戦争ではイラクのフセイン体制を徹底的に利用、支援し、アフガニスタンでも対ソ連に対抗するためビンラディンを含むタリバンを徹底的に支援、利用してきました。まさにご都合主義の極みといえます。
 米国のブッシュ政権の単独行動主義、先制攻撃主義は、いわゆるネオコンと呼ばれる新保守主義の意向を強く受けた超軍事大国としての米国が、21世紀にいわば世界の「帝国」として振る舞う方法論であると言えます。ブッシュ政権のそのような行状は大統領就任直後にイラクを空爆したこと、9.11以降のアフガン戦争においても明確になっています。日本のマスコミ、政治評論家などは、ブッシュ政権の中央アジア、中東戦略を「中東の和平」達成のためなどと論評してきましたが、現実実態はそんな綺麗ごとでは到底説明できない覇権と利権に満ちたものであると言えます。
 上記を肌身にしみて分っているフランス、ドイツなどEU中枢諸国は米国の単独行動主義、先制攻撃主義を批判してきたのです。そもそも、中東の和平と言えば、何をさておきイスラエルとパレスチナとの問題です。しかし、過去国連からイスラエルにだされた60回に及ぶ決議を看過したり、反故にしてきたのは他ならぬ米国でありイスラエルなのです。
 もし、今回の米国の大規模な先制攻撃を許せば、今後、世界最大の大量破壊兵器所有国であり圧倒的な武力、軍事力保有国である米国にへの歯止めは効かなくなります。であるが故に、今回の米国による武力攻撃は何としても許容してはならないのです。

◆署名活動今月いっぱい継続します。

 ご承知のように、米英西首脳は世界世論をよそに今週中にもイラク攻撃を開始する状況になってきました。
 3月15日で本賛同署名活動を終える予定でしたが、継続を求めるたくさんのメールを頂きました。日本政府や与党は対米追随を一向に変える気配がありませんので、今月いっぱい署名活動をつづけることとしました。現在、6大陸、29ヶ国の皆さんから7000弱の署名を頂いており、今日の午後、ほぼ国会議員に再度意見の申し入れを行ないます。なお、本経過報告を含めた関連する情報は以下のイラク攻撃不支持関連ホームページでご覧になれます。
 http://www.eforum.jp/shihou/iken-moushiire1.html
↑↑ここまで青山さんのメール↑↑

 去る14日、中東調査会が東京アメリカンセンターと笹川平和財団との共催で開催した緊急セミナー「イラク問題における日本・米国」に行ってきました。「政府系」のセミナーとして、自民を中心とした「日本」の発想がよくわかる集まりでした。
 基本的に前提となっているのは、イラクはサダム・フセインに率いられるテロ国家であること、グローバリゼーションの流れを含めて、日本の防衛は米軍に依存していることです。
 以上を前提に、中東専門家などがいろいろ分析していましたが、最後に出席した政治家のコメント(ショートスピーチ)の要旨をご紹介します。

中谷 元 防衛庁長官
 日本としては米国を支援しつつ、安保理を中心に据え、他国との意見の一致に向け努力している。米国を支援する理由は2つ。@イラクの大量破壊兵器は脅威である。日本でもサリンによるテロがあった。A北朝鮮問題と表裏一体である。日本は専守防衛で米国の核の傘に依存している。日米が一枚岩であることを見せることが抑止力になる。今の状況(反対意見が出ること)は説明責任が足りないため。国益の第一は安全保障。国連か安保かといえば両方必要であるが、国防の基本方針は安保である。国連が機能するまでは日米同盟に頼るしかない。

谷川 元防衛庁長官
 仏の態度を懸念している。米欧の体制が崩れるから。NATOが崩壊でもすれば、安保も組替えが必要。市民の平和希求として米と組むべきではない」と言うが、米の努力によってフセインに変化が生じた。(ここで9・11直前のアフガニスタンでの暗殺事件とその生存者カリリのスピーチを語ったが、意図がよくわからなかった)一般大衆を恐怖に陥れるテロリズムもあるが、政治のリーダーを狙ったテロが最も問題である。いかに相手を変えることができるかが、これからの日本外交にとっては重要だ。

広中和歌子(民主党)
 湾岸戦争のとき人質解放を求めてイラクに行った。フセインは絶対的権威を持ち、婦人連盟やグ界なども徹底的に独裁している。そんなフセイン政権に米がプレッシャーを与えていることには敬意を持つ。英は米につき、安保理に的を絞ってきた。ブレアはヨハネスブルクのときも、イラク問題に関する質問に実に丁寧に答えていたし、国民に対する説明の努力を払っている。しかし、国連決議なしに開戦した場合、戦争で解決することには疑問。理由は、経済に与える悪影響、人道的問題、国連システムへの打撃、米の権威の失墜、テロの拡大。日本の国民は拉致問題に比べるとイラクへの関心は低く、日本は何もしていない。しかし調査をすると7〜8割が反対だ。戦争回避に向け、女性議員の連名で、首相に進言した。駐日米公使にも申し入れた。米に勇気ある撤退を求める。米国人を含む多くの人々が戦争がないことを望んでいる。

中川正春(民主党)
 国会の論議が高まらないことに憤りを感じている。首相には説明を要求している。コトンと腹に落ちない。国連の議論は健全。防衛手段として武力を行使することはよいが、今やろうとしているのは先制攻撃だ。湾岸(クウェート)の時はイラクが攻めた後だった。イラクに証明を要求するのは無理がある。米が証明の努力をすべき。NATOや北朝鮮に響くなどと言うのはナンセンス。日韓などの周辺国のことを考えると、米の北朝鮮攻撃はないと思う。ドイツやソ連の変革のようなヨーロッパ方式がふさわしい。日本の主張を持つべき。例えば米単独の場合反対すべき。

森岡正宏(自民党)
 憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」云々と書いてあるが、50年前と状況は変わった。今こそ防衛のあり方を考える分岐点。悪いのはイラク。国連決議を守らないのに対し散々要求してきたわけで、米の攻撃は唐突ではない。「勇気ある撤退」などと言うが、そうすれば世界中の人々がテロに怯えなくてはならない。ゆえに米を支持する。地元で街頭に立つと、「なぜ核を持つ米が」云々という質問を受ける。イラクは(米国と違って)平和な国ではない。日本は同盟国として米に頼らざるを得ない。自衛隊は軍隊ではないと言う政府見解は変えるべき。国連がいつも正義であり続けるかわからない。それを念頭に国益に沿った行動を。

あずま祥三(自由党)
1988年までUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で働き、最後はまさにトルコだった。当時はイライラ戦争の末期で、クルドをはじめ難民の救済にあたっていた。そこで生物化学兵器の被害者にも接している。しかし、こういう問題に関して日本には言う資格はない。難民の受け入れもしていない。そして戦争がイヤという情緒論で来ている。外交は対話にこしたことはないが、世界の現実において軍隊で解決せざるを得ない。他国は国連決議があれば賛成だ。しかし日本では、国連決議があっても、戦争に行って貢献しようと思っても行くことができない。日本の政治がだらしないから9条がそのままになっている。(9条は)敗戦国である日独への圧力。吉田茂の時代にはじめて自衛権を認められた。今のままでは、何もできないのだから発言権はない。国際連盟は井戸端会議だったので、ナチスの台頭を許した。国連は国際連盟になってしまうのか。日本政府は国連に対する提案をしない。91年には地上戦に行かなかったのでフセインを残してしまった。それをどうしたらいいか。露仏独は米のヘゲモニーに反対しているだけで代替案はない。それでは国際社会は滅茶苦茶になる。イラクに250人の査察官が行ったとしても、そんなことで本当のことがわかるわけはない。8割強の人が反対しているようでは、日本には安全保障はない。これからは武力をどう使うかが重要だ。

須藤氏? 元駐エジプト大使?
 国際社会が2つに割れているが、フセインが悪いということでは一致している。それをどう排除するかということの違い。米英は一種の自己脅迫感を持っている。周辺国や欧はよく知っている。今すぐたたかなくてはならないほどではない。(戦争をするにしろしないにしろ)双方にメリットとデメリットがある。また短期的に考えるか長期的に見るかでもちがいが出てくる。

以上文責・大河内秀人
2003/3/16
家屋破壊を制止したアメリカ人女性が轢死
 以前にもご紹介しました、清末愛砂さんや森沢典子さんなども参加している、ISM(国際連帯運動)で、家屋破壊を何とか止めようと「人間の盾」になろうとしたアメリカ人女性レイチェル・コリーさんが、大型ブルドーザーにひき殺されるという痛ましいニュースが飛び込んできました。

 コリーさんは、ガザ南部ラファの難民キャンプで、家屋(もちろん人が住んでいる家です)を破壊しようとした大型ブルドーザー“キャタピラー社D−9型”の前に立ちはだかりそれを制止しようとしました。目撃者によると、彼女は目立つ色のジャケットを着て、ブルドーザーの上に登り、運転士に向かって叫びました。彼女が見えないわけはない運転士はそれを無視して突き進み、ブルドーザーの前に滑り落ちてしまった彼女を、周囲の仲間たちがハンドマイクで狂ったように叫ぶのも無視して、ひき殺しました。イスラエル軍は、2台のブルドーザーと1台の戦車でこの破壊作戦を展開していましたが、このことを痛ましい「事故」と発表しています。
 犠牲者がアメリカ人ということで大きなニュースになりますが、この日を含めパレスチナ人は、撃ち殺されたり、空爆であったり、破壊される家の下敷きとなったり、日常的に犠牲になっています。
 アメリカは、イラクの大量破壊兵器を問題にしていますが、少なくともイラクはアメリカに対して何もしていません。独裁政権によりイラク人自身が抑圧されているということはあっても、湾岸戦争以降、他国や多民族に対し、侵略や虐殺をしたという話は聞いていません。
 イスラエル軍の侵略、虐殺行為を許しておいて、否、イスラエルの軍事予算のほとんどをアメリカが支援しておきながらイラクだけを攻撃するのは明らかにダブルスタンダードです。自分たちがあたかも被害者のように見せながら「テロ」を理由に、アメリカは石油を、イスラエルは土地を手に入れようというまさに変な親子関係が見えてきます。

以下は、イスラエル紙『ハーレツ』の記事です。

American peace activist killed by army bulldozer in Rafah

IDF expresses `regret'; State Department `assessing' reports
By Haaretz Staff

A 23-year-old American woman, Rachel Corrie, a college student from Olympia, Washington who belonged to the International Solidarity Movement in the territories, was killed yesterday by an IDF bulldozer during a house demolition in Rafah.

Israeli officials expressed "regret" over the incident to American officials, sources in Jerusalem said, and in Washington, a State Department statement said it had received reports of the incident, and was "assessing the situation."

The ISM activist was taking part in protest efforts yesterday afternoon in Rafah, to prevent the army from demolishing houses in a strip of land a few hundred meters wide between the Rafah refugee camp and the nearby Egyptian border, in an effort to block smuggling from Egypt.

According to eyewitnesses, a routine IDF demolition operation was underway in the area, with two D-9 bulldozers and a tank as protection. They destroyed three buildings that were already partially destroyed and a number of walls. The ISM activists then deployed in the area and used bullhorns to call on the drivers to stop. According to ISM activists, at one stage the IDF forces left the area and took up positions near the border, a few hundred meters away.

But around 5 P.M., the force returned, and the activists assumed the bulldozers were on their way to other houses. "They began demolishing one house," said an ISM activist, who said his name was Richard. "We gathered around and called out to them and went into the house, so they backed out.
During the entire time they knew who we were and what we were doing, because they didn't shoot at us. We stood in their way and shouted. There were about eight of us in an area about 70 square meters. Suddenly, we saw they turned to a house they had started to demolish before, and I saw Rachel standing in the way of the front bulldozer."

According to the ISM activist, Corrie was wearing a bright jacket and climbed onto the bulldozer shovel-plow and began shouting at the driver. "There's no way he didn't see her, since she was practically looking into the cabin. At one stage, he turned around toward the building. The bulldozer kept moving, and she slipped and fell off the plow. But the bulldozer kept moving, the shovel above her. I guess it was about 10 or 15 meters that it dragged her and for some reason didn't stop. We shouted like crazy to the driver through loudspeakers that he should stop, but he just kept going and didn't lift the shovel. Then it stopped and backed up. We ran to Rachel. She
was still breathing."

According to the activists, the tank arrived on the scene and was only 20 meters away, but the soldiers did not offer any assistance. A little while later, the heavy equipment pulled away, and a Red Crescent ambulance took the badly injured woman to Abu Yusef Najar Hospital in Rafah, where she was declared dead on arrival. A second activist was slightly injured. The destroyed house belonged to Dr. Samir Nasrallah.

Army sources said the demolitions were meant to prevent sabotage along the Philadelphi road parallel to the Egyptian border. The sources said the bulldozer driver deviated from the track and apparently was moving a block of concrete that hit the woman.

The ISM is an international pacifist movement that draws its inspiration from a quote by Albert Einstein: "The world is a dangerous place to live;
not because of the people who are evil, but because of the people who don't do anything about it."

Since the start of the intifada, hundreds of the foreigners, mostly students, have taken a rigorous course in nonviolent theory and practice and then been placed in Palestinian towns and villages, where they report on events at checkpoints, villages under curfew and house demolitions, help move humanitarian aid into besieged areas, and accompanying ailing Palestinians to hospitals. As non-Palestinians, they enjoy a certain measure of immunity - Corrie was the first ISM casualty in the nearly 30 months of intifada.

2003/3/10
ただの戦争か、正義の戦争か  ジミー・カーター元米大統領のニューヨークタイムスへの寄稿
 3月9日のニューヨークタイムスに掲載された、ジミー・カーター氏のイラク攻撃に関する寄稿を日本語に訳しました。もちろん、本人にもNTにも無断です。拙い訳ですがご容赦下さい。
 もちろん、アメリカの人々に対して書かれたもので、私たちからすれば???なところもあります。しかし、私としては先月、カーター氏やカーターセンターのスタッフをはじめ、彼の「平和活動」を支える人々と話す中で感じた、「アメリカ」のメンタリティや限界を考えると、アメリカが微妙に変化していく中である意味注目すべきメッセージではないかと思います。

ただの戦争か、正義の戦争か

ジミー・カーター

 私たちの国家を偉大なものにしてきた2世紀以上にわたる一貫した2大政党制に逆行して、外交政策に重大な変化が生じています。この制度は、基本的な宗教の原則、国際法に対する尊敬、および賢明な決定および相互の抑制の結果もたらされた協調に基づいていました。国際社会の支持なしにイラクとの戦争を始める私たちの明白な決定はこれらの前提に背くものです。
 クリスチャンとして、そして国際的な危機の厳しい局面を経験させられた大統領として、私は、正義の戦争の原則に徹底的に精通しました。そして、本質的に一方的なイラクに対する攻撃が正義の戦争の基準に合致しないことは明らかです。このことは、終末論や末日の神学に根ざしたイスラエルとの関与によって強い影響を受けた南部バプティスト派のようなごく一部の例外を除いて、ほとんどの宗教的な指導者たちにおいても普遍的に確信するところです。
 戦争が正当であるためには、いくつかの明確に定義された基準を満たしていなければなりません。
 その戦争は、非暴力的な選択肢をすべてやり尽くした最後の手段としてのみ行なうことができます。イラクの場合においても、戦争に代わる明確なより良い方法が存在することは明らかです。以前に私たち自身のリーダーによって提案され、国連によって承認されたこれらのオプションは、金曜日に安全保障理事会において再び取り上げられました。しかし今、私たち自身の国家が直接脅威を受けているわけでもなく、しかも世界のほとんど圧倒的なの人々や国家の反対にもかかわらず、合衆国は、文明化された国々の歴史にほとんど先例がない軍事と外交行動を行なおうと決意したように見えます。広く公表された私たちの戦争計画の第一ステージでは、無防備とも言える、そして問題のある指揮者を交代させるであろうイラクの人々の上に、彼らに相当の損害を与え士気を挫くことを目的として、侵攻開始から数時間内に3,000発の爆弾やミサイルを打ち込むということです。そしてその指導者は、爆撃中は間違いなく安全な場所に隠されているはずです。
 正義の戦争では、戦闘員と非戦闘員を区別しなくてはなりません。広範囲な空爆は、たとえ精緻な正確さを持っていたとしても、間違いなく「付随的損害」を招きます。ペルシャ湾のアメリカ軍司令官であるトミーR.フランク将軍は、多くの攻撃目標が病院や学校、モスク、そして民家の近くにあることに懸念を示しています。
 (正義の戦争であるならば)その暴力は私たちが受けた傷に相応するものであるべきです。サダム・フセインにまだまだ他の重罪があったとしても、9.11のテロ攻撃にイラクを結び付けるアメリカの努力は説得力がありませんでした。
 正義の戦争における攻撃者は、自らがそれを代表すると自認する国際社会によって認められた正当な権限を得なくてはなりません。イラクの大量破壊兵器を除去する事について承認するという安全保障理事会における一致した表決は、今なお尊重に値します。しかし、今表明されている我々のゴールは、政権交代をさせることであり、おそらく10年くらいは民族的に分断された国を占領して、この地域にパックス・アメリカーナを確立することになっています。これらの目的については、私たちに国際的な承認はありません。安全保障理事会の他のメンバーは、ワシントンから及ぼされ続けている巨大な経済的政治的な影響力に、これまでも抵抗してきました。そうして、私たちは必要な賛成票を得ることができず、さらにはロシア、フランスおよび中国による拒否権ということに直面させられます。莫大な経済的見返りと、将来北部イラクにおけるクルド人および石油に対する支配権によって、トルコ政府を味方につけることができたとしても、その民主主義の議会は、世界的に広がる懸念を表明する側の声に、少なくともつけ加わりました。
 正義の戦争が築く平和は、現状から明らかに改善されたものでなくてはなりません。イラクにおける平和と民主主義のビジョンがあると言っても、軍事的な侵攻の直後はこの地域に不安定をもたらし、テロリストを刺激し、米国内での私たちの生活をより危険にさらすことになるのは目に見えています。さらに、圧倒的な世界の反対意見を無視することで、アメリカは世界平和を実現しうる機関としての国連に傷をつけることになるでしょう。
 もし私たちが、この地域にこれほど大規模な軍隊の展開をしながらも、戦争を思いとどまったならば、アメリカの世界的な地位はどうなるでしょうか? 9・11の攻撃の後、それまで対立していた体制の側からさえも寄せられた、アメリカへの心からの同情と友情は、どこかへ行ってしまいました。そして、ますますひどくなる一方的で傲慢な政策は、私たちの国に対する国際的な信頼を、かつてない最低のレベルに落としめました。私たちが国連の明らかな意向を無視して戦争に踏み切ったならば、アメリカの地位は確実に落ちていくでしょう。しかし、戦争を最後の選択肢として、イラクがすべての国連決議に従うことを目的に、私たちの軍事力によるプレゼンスと脅威を使うならば、平和と正義のチャンピオンとしての私たちの地位を高めることになるでしょう。
(ジミー・カーター第39代アメリカ合衆国大統領は、アトランタのカーター・センターの代表で2002年のノーベル平和賞受賞者です。)

/////以下、原文

Just War or a Just War

ATLANTA

Profound changes have been taking place in American foreign policy, reversing consistent bipartisan commitments that for more than two centuries have earned our nation greatness. These commitments have been predicated on basic religious principles, respect for international law, and alliances that resulted in wise decisions and mutual restraint. Our apparent determination to launch a war against Iraq, without international support, is a violation of these premises.

As a Christian and as a president who was severely provoked by international crises, I became thoroughly familiar with the principles of a just war, and it is clear that a substantially unilateral attack on Iraq does not meet these standards. This is an almost universal conviction of religious leaders, with the most notable exception of a few spokesmen of the Southern Baptist Convention who are greatly influenced by their commitment to Israel based on eschatological, or final days, theology.

For a war to be just, it must meet several clearly defined criteria.

The war can be waged only as a last resort, with all nonviolent options exhausted. In the case of Iraq, it is obvious that clear alternatives to war exist. These options previously proposed by our own leaders and approved by the United Nations were outlined again by the Security Council on Friday. But now, with our own national security not directly threatened and despite the overwhelming opposition of most people and governments in the world, the United States seems determined to carry out military and diplomatic action that is almost unprecedented in the history of civilized nations. The first stage of our widely publicized war plan is to launch 3,000 bombs and missiles on a relatively defenseless Iraqi population within the first few hours of an invasion, with the purpose of so damaging and demoralizing the people that they will change their obnoxious leader, who will most likely be hidden and safe during the bombardment.

The war's weapons must discriminate between combatants and noncombatants. Extensive aerial bombardment, even with precise accuracy, inevitably results in "collateral damage." Gen. Tommy R. Franks, commander of American forces in the Persian Gulf, has expressed concern about many of the military targets being near hospitals, schools, mosques and private homes.

Its violence must be proportional to the injury we have suffered. Despite Saddam Hussein's other serious crimes, American efforts to tie Iraq to the 9/11 terrorist attacks have been unconvincing.

The attackers must have legitimate authority sanctioned by the society they profess to represent. The unanimous vote of approval in the Security Council to eliminate Iraq's weapons of mass destruction can still be honored, but our announced goals are now to achieve regime change and to establish a Pax Americana in the region, perhaps occupying the ethnically divided country for as long as a decade. For these objectives, we do not have international authority. Other members of the Security Council have so far resisted the enormous economic and political influence that is being exerted from Washington, and we are faced with the possibility of either a failure to get the necessary votes or else a veto from Russia, France and China. Although Turkey may still be enticed into helping us by enormous financial rewards and partial future control of the Kurds and oil in northern Iraq, its democratic Parliament has at least added its voice to the worldwide expressions of concern.

The peace it establishes must be a clear improvement over what exists. Although there are visions of peace and democracy in Iraq, it is quite possible that the aftermath of a military invasion will destabilize the region and prompt terrorists to further jeopardize our security at home. Also, by defying overwhelming world opposition, the United States will undermine the United Nations as a viable institution for world peace.

What about America's world standing if we don't go to war after such a great deployment of military forces in the region? The heartfelt sympathy and friendship offered to America after the 9/11 attacks, even from formerly antagonistic regimes, has been largely dissipated; increasingly unilateral and domineering policies have brought international trust in our country to its lowest level in memory. American stature will surely decline further if we launch a war in clear defiance of the United Nations. But to use the presence and threat of our military power to force Iraq's compliance with all United Nations resolutions with war as a final option will enhance our status as a champion of peace and justice.

Jimmy Carter, the 39th president of the United States, is chairman of the Carter Center in Atlanta and winner of the 2002 Nobel Peace Prize.
2003/3/1
パレスチナからのメッセージ
 パレスチナ子どものキャンペーンでは、越冬募金のお願いをしておりますが、これまでにも多くの皆様にご協力をいただき心から感謝いたします。酷い暴力にさらされながら、世界中から助けもなく、見捨てられていると感じざるを得ない人々にとって、その浄財のみならず、日本からもたくさんの人が応援してくれていることが、何よりも励ましになります。それでも状況は悪くばかりではありますが、途中報告として、現地の様子と、アトファルナろう学校のジェリー校長のメッセージを、以下にお知らせします。

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           ガザとパレスチナの冬
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 越冬募金で、新年からアトファルナろう学校の給食を開始しました。また、生活困窮家庭100世帯に一時金の支給も開始いたしました。ろう学校では、子どもたちの栄養補給のため、なるべく経費を切り詰め給食できる日数を増やしたいと努力をしています。220人以上の給食調理を、1人の女性と卒業生の少女2人だけで担当しているという涙ぐましい話です。
 お腹をすかせている子どもたちは給食が本当に嬉しく、数字で出せることではありませんが、授業への集中度や顔色が給食を始めてから変化していると、先生たちは感じています。現在の予定では、他の寄付と合わせて生徒全員に約2か月の間の給食ができそうです。キャンペーンのスタッフが2月中旬からガザを訪問していますので、次のニューズレター「サラーム」などで詳しいご報告ができると思います。

 ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ自治区での戦争状態は悪化の一途をたどっています。1月はガザが集中的に侵攻され、市内に毎日大量の戦車が入ってきました。「爆弾を製造している」という口実で、多くの普通の町工場も壊されました。ただでさえひどい経済状態のなかで、人々は機械や材料を壊されて収入の途を失ったばかりか、借金だけが残っていきます。2月10日から巡礼明けの祝日が始まりましたが、その前夜、遠くから来ているろう学校の生徒やスタッフは道路封鎖によって家に帰れないという悲しい状況でした。停電や電話線の破壊でガザのコンピューターにも被害が広がり、ろう学校との連絡も途絶えがちです。
 2月初めから、ジェニンの「心のケアプログラム」に、日本から精神科のお医者さんを派遣していますが、現地からの途中報告には、難民キャンプに比べると被害の程度が少ない周辺の村でさえも、カウンセリングや治療の必要な子どもたちが15%近くいるとあります。ガザでは、特に南部のラファやハンユニスでの状況は厳しさを増し、子ども達の精神にも大きな影響が出ていると報告してきています。こうした心のケアの報告会は4月に予定しています。

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           アトファルナろう学校
          ジェリー校長のメッセージ
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 「イラクでの戦争が起こらないことを私たちはみな願っています。戦争によってもたらされるのは数え切れない犠牲や破壊です。特にパレスチナに住む私たちは、戦争が始められた場合に、自分たちもイスラエル軍によってひどい目に遭うのではないかと非常に心配し、神経質になっています。

 最近では、軍事侵攻はますます暴力的になっており、クリスマスにはガザ南部のラファで50軒の家が壊され500人が家を失いました。こうした侵攻は、当然ながら子どもにも大人にも深刻な影響を与えています。アトファルナにも家族を殺されたり、家が破壊されそうになっている子どもたちがいて、その対応に先生たちは頭を悩ましています。また、最近では爆撃などによって聴覚を失う人の数が急に増えていて、アトファルナでは補聴器の寄付(新品でも中古でも)を募っています。
 こうした厳しい状況ですが、ろう学校の子どもたちは普通学校の子どもたちと交流して遊んだり、手話を教えたりするプログラムにも参加しています。日本の皆様のご協力に心から感謝しつつ、子どもたちが少しでも明るい日常を送れるよう私たちも努力を続けます。
2003/2/27
もう戦争のできる時代は終わった
 5日間にわたりカーター・センターのウィンター・ウィークエンド・ミーティングに参加してきました。この会合に昨年から私を推薦してくれた元NHK外信部の小林康司さんは、自ら広島出身の被爆者で、非核・非武装をめざすカーター・センターとの連携を含め、核兵器の廃絶のために献身的に活動しています。小林さんの活動については、いずれ詳しくご紹介させていただきます。
 さて、イラクや北朝鮮の核兵器が世界の脅威とされていますが、米軍が大量に使用している劣化ウラン弾は、紛れもなく「核兵器」です。また、原発を含め核を保有しているということは、その地域を数十億年にわたり全ての生命が蝕まれる危険にさらすことです。

 以下でご紹介いたします米誌『YES!』のインタビュー記事は、これまで隠され、また眼をつぶられてきた非常に重要な現実を伝えています。
 反核・反戦運動は、非現実的で情緒的な理想論と見なされたり、それが独裁政権の暴力を容認するかのごとく断ぜられます。しかし、現実の悲劇の本質、そして核や兵器を必要とし、つくらせ広げていく構造に、過去の悲劇を正面から受け止めた人間の智慧の到達点から、冷静に合理的に見極めれば、自ずと正しい道が見えてきます。
 核や戦争を「必要悪」と思っている方には、
 平和なんてなかったし、これからもないと思うよ。なぜって平和は固定的なものじゃないからだ。言っちまえば「平和」ってのは、絶え間ない侵略の欲望に対して、抑制が勝っている状態を指すだけだ。だから一時燃え上がるだけの運動でもダメだし、心情的な共感だけでもダメなんだ。ずっと続けられる運動にしないと。
 この戦争が石油の奪い合いなら、石油を取ってもどうしょもない状態を作るのが一番いい。「温暖化防止のために使えない」ってのもいいし、「自然エネルギーの方が安い」ってのもいい。そうなれば侵略する気も起きないだろ? こういう「無効化」って大事だと思うんだ。
 そう考えると、戦争を止めるためにやれることもけっこう見つかる。省エネだってそうだし、木材で作ったプラスチックを買うのもいい。自然エネルギーで暮らすのも、いまや現実に可能なんだしね。
と語る田中優くんのコラム「世界はあんたのためにあるわけじゃないんだ」第2回http://www.clubking.com/members/c001_02.php3 をぜひお読みいただきたいと思います。

 また、劣化ウラン弾の引き起こす現実については、森住卓さん著『イラク−湾岸戦争の子どもたち』(高文研)をぜひご覧下さい。うちの本堂の下に置いてあるこの本を見て、皆一様に「こんな大事なことを知らなかったなんて」と言って帰られます。

 そして、最後になりましたが、表題のインタビュー記事を、星川淳さんが緊急に翻訳して流してくれましたので、ぜひご覧下さい。

米誌『YES!』(2003年春号)より
ダグ・ロッキー米陸軍少佐の証言

「これは私たち自身に対する戦争だ」
(The War Against Ourselves)

原文→
http://www.yesmagazine.org
[要旨]
湾岸戦争に従軍したベテラン陸軍少佐ダグ・ロッケは、イラク国内の戦闘で米軍兵士の安全を図る任務についた。そこで知った米兵とイラク一般市民双方への劣化ウランなどによる戦争被害の実態は、彼に「もう戦争ができる時代は終わった」と確信させるものだった。

[インタビュー全文]

 保健物理学の博士号をもつダグ・ロッケは、もともと法医学畑の出身。湾岸戦争時、アメリカ陸軍から核・生物・化学戦に向けた兵士の訓練という任務を与えられて現地入りした。その体験にもとづき、彼はいま全米をまわって平和を訴える。このインタビューはトラップロック平和センターの理事サニー・ミラーが行なったもので、『YES!』誌からの質問も含まれる。

Q: 湾岸戦争をテレビで見た人たちは、遠隔操作の楽勝で、米兵の被害もわりあい少ない印象を受けました。実態はどうだったんですか?
ロッケ: 湾岸戦争が終わって1991年の秋にアメリカへ帰還したとき、米兵の死傷者合計は760名でした。死者294名、負傷と病気が400名あまりです。ところが現在、湾岸戦争復員兵の死傷率は約30%に達しています。2002年9月の復員軍人援護局(Veterans Affairs=VA)報告によれば、実戦後も含めて現地入りした将兵のうち22万1000人が障害補償を受けました。米軍戦死者の多くは、ウラン弾による味方の誤射・誤爆が直接原因で死んでいます。米軍が米軍を死傷させたわけです。
 われわれは、ウラン粉塵の風下にいた者、ウラン汚染現場とその周辺で作業した者、ウラン弾を被弾した車両や建物の中に立ち入った者のすべてに対し、医学治療を行なうよう提言しました。米軍だけでも何千・何万もの兵士が該当しますが、治療は米軍にとどまらずイラク兵にも、またその被害を受けたイラクの女性や子どもたちにも施されるべきですし、イラク国内の汚染除去も行なわなければなりません。
 さらに、被害はイラクの子どもたちにとどまらず、帰還した米兵から生まれた子どもたちにもおよんでいます。米軍は、復員兵の精液中からウランが検出されることを認めました。精液中にウランが出ているというのは、遺伝メカニズムがめちゃくちゃになっているということです。その条件で受胎された子どもは、アルファ放射線によって凄まじい細胞損傷や遺伝子損傷を受け、何もかもおかしくなります。湾岸戦争に従軍した男性兵士から奇形児が生まれる確率は通常の2倍、女性兵士では3倍に上るという研究結果が出ています。

Q: あなたは35年間も軍務についてこられました。ベトナム戦争では爆撃手を務め、いまでも陸軍予備役に登録しているとのこと。それでも現在、全国をまわりながら劣化ウラン(depleted uranium=DU)の危険について警鐘を鳴らしています。劣化ウランの問題をおおやけにしなければいけないと決意した理由は何ですか?
ロッケ: 湾岸戦争で私のチームにいた全員が病気になりました。親友のジョン・シットンが瀕死の症状に陥ったのに、軍は医療責任を拒否し、ジョンを死なせました。彼は湾岸戦争全体の医療避難通信システムを構築した功労者ですよ。その任務で被曝したのです。
 ジョンとローラ・ドルフと私は、民間人としても軍人としても無二の親友でした。ローラも病気にかかりました。彼を戦地に送る命令は私が受けたのです。私たちは二人そろって配属されました。私の任務は兵士たちに核・生物・化学戦争について教え、無事に復員させることでした。私はその任務に心血を注ぎました。湾岸戦争で私に与えられた軍命は単純明快、「兵士を生きて国へ連れ戻せ」でした。しかし、私がそれに必要な訓練内容をまとめ、環境浄化マニュアルを書き上げ、医療指示をすべて整えたにもかかわらず、何ひとつ実行されなかったのです。
 友軍の誤射・誤爆によって100人以上の米兵が劣化ウランに被曝しました。そのうえ、劣化ウラン弾を被弾した敵の戦車に入ったり、写真を撮ったり、土産の戦利品を集めたりして被曝した兵士は数えきれません。危険について知らされていなかったのです。
 劣化ウランはきわめて有効な兵器です。10ポンドの対戦車砲弾は大部分がウラン238で、微量のプルトニウム、ネプツニウム、アメリシウムが含まれています。自然発火性があって着弾すると高熱を発し、比重が重たいので戦車の装甲を貫通することができます。ウラン弾を被弾した車両や建物は内部が火事場と化すため、凄まじい火傷や裂傷が見られました。それは無惨なものです。
 米軍がイラクの生物・化学・核兵器の備蓄を爆破することにしたせいで、米兵やその地域に住むすべての人びとが被害を受けました。いたるところで、化学物質探知機やガイガーカウンターの針が振り切れていました。なかには生物兵器もありましたし、破壊された原子炉もありました。イラク全土が毒物の荒野だったのです。そして、この修羅場に劣化ウランが加わっていました。
 私たちが最初に劣化ウランの除染命令を受け、サウジアラビア北部に到着すると、72時間以内に病状が現われはじめました。呼吸器系障害、発疹、出血、皮膚潰瘍などが、ほとんど到着と同時に発症したのです。環境中に大量の放射性粒子が存在し、それを吸入しはじめると、粒子は咽頭の裏側に付着します。一人目のガン患者が出ると、あとはまたたくまに広がりました。当時、一緒に仕事をした父子がいますが、父親はすでに肺ガンで亡くなり、病身の息子にはまだ医療補償が認められていません

Q: 何が起こっているのかご存知でしたか?
ロッケ: 湾岸戦争がはじまったとき、劣化ウランのことなど何も知らされていませんでした。兵士は上官の命令に従うものですが、上からは劣化ウランに健康上の悪影響はないと聞いていたのです。けれども、この物質について調べはじめ、物理学や工学の知識と照らし合わせてみると(私の専攻は環境科学と工学でしたから)、それらの知見や実際の見聞と軍の公式見解との矛盾にすぐ気づきました。
 1991年6月にアメリカ本国へ帰還したとき、私は病気でした。呼吸器系疾患や発疹や神経障害が現われはじめていたのです。

Q: なぜ復員軍人援護局に医療補償を求めなかったのですか?
ロッケ: まだ現役兵士の身分だったので、医療補償の申請はできないと言われたからです。復員軍人援護局に申請するには、軍務と病状とのつながりを示す情報がなければなりません。復員軍人援護局の補償がとうてい見込めなかったので、私はかかりつけの個人医に相談しました。当時は原因がわかりませんでしたが、とにかくあまりにも多くの復員兵が病にかかっていたのです。
 軍は私や私のチームに対して医学テストを行ないませんでした。1992年に出された国防総省のガイドラインによれば、尿中のウラン排出量が一日あたり15マイクログラムを超えたら、すぐに医学テストを受けることになっていますし、一日あたりの尿中ウラン排出量合計が250マイクログラムを超えたら、継続的な医療を受けなければならないとされています。
 1994年11月、私が国防総省の劣化ウランプロジェクト主任担当官だったとき、ようやく私の放射生物学的測定が行なわれました。一日あたりのウラン排出量は約1500マイクログラムでした。継続的な医学治療を受けるべきレベルの5倍から6倍です。しかし、そのことは二年半ものあいだ私に知らされませんでした。

Q: 劣化ウランに被曝すると、どんな症状が現われるのですか?
ロッケ: 線維筋痛(せんいきんつう)です。放射線による白内障も起こります。ウランが車両や建物に着弾すると、酸化ウランの塵とウランの破片があたり一面に飛び散ります。人間はこれを吸い込んだり、傷口から取り込んだりします。体内に入ると、この一部が水溶性となり、血液を通じて全身に広がります。不溶性の微粒子は、たとえば肺などにとどまります。放射線とそれら微粒子が肺を破壊するのです。

Q: いま、第二次湾岸戦争がはじまりそうな場所へ送り込まれている部隊は、どんな訓練を受けたのですか?
ロッケ: 私は劣化ウランプロジェクトの主任担当官として40時間で完結する訓練計画を作成しました。ところが、そのプログラムは丸々お蔵入りになっています。軍は私が書いたものを20分のプログラムに焼き直しましたが、ウソばかりです。ウラン弾の実態をとらえたものではありません。
 装備にも欠陥があります。会計検査院(GAO)の検査で、ガスマスクも化学防護服も漏ることがわかりました。信じられないことに、国防総省の役人が最近、そういう欠陥はガムテープで補修できると言いました。

Q: もし隣近所の人たちが不十分な訓練と装備で戦場に送られ、しかも劣化ウランなどの毒物兵器で戦うとしたら、それに対して異議申し立てをできるのはだれでしょうか?
ロッケ: 兵士の夫や妻、息子や娘、祖父母、叔父や叔母のだれでも、自分の選挙区の国会議員に電話をかけ、いま私が引用したような政府の公式報告を挙げて、軍が兵士たちに必要十分な装備と訓練を与えることを求めるべきです。もしわれわれが、湾岸戦争後に起こったように米軍の復員兵士を正しく処遇しないのなら、そんな戦争はすべきではない。それは神への冒涜です。戦争でウラン弾を使うのは人類に対する犯罪ですし、戦争の結果を無視することも許されざる罪悪です。
 この結果は永遠に続きます。ウラン238の半減期は45億年です。それを、湾岸戦争でわれわれは320トンもイラクに残してきたのです。米軍はコソボ攻撃の訓練中、プエルトリコのビエケス島にもウラン弾を落としました。アメリカ領に住むアメリカ市民に対してそれをやったのです。私が国防総省のチームを動かして、ビエケスの放射能に関する安全対策と劣化ウランの除染を行なおうとしたら、それを差し止められました。現地で医療対策を取ろうとしたら、それも止められました。
 アメリカ陸軍は、私をこの分野の専門担当官に任命したのですよ。私は軍人ですから、米軍がウラン弾を使用できるよう、全力でその任務を遂行するつもりでした。しかし、劣化ウランプロジェクトの主任として、自分や他のあらゆる復員兵の病状を見ながら研究を進めたすえ、私が達した結論は、ウラン弾は地球全体で永久に禁止すべきだということです。そして、あらゆる被害者に医療の手が差し伸べられるべきです。アメリカやカナダ、イギリス、ドイツ、フランスといった多国籍軍の復員兵士だけではありません。ビエケス島のアメリカ市民にも、イラクや沖縄の住民にも、スコットランド、インディアナ、メリーランド、さらにはアフガニスタンやコソボの人びとにもです。

Q: もしあなたの情報が広まったら、いまイラク戦争に向けて配属された兵士たちの家族から、兵役拒否の嘆願が出てくる可能性はあると思いますか?
ロッケ: もし毒物の荒野に送り込まれ、穴のあいたガスマスクや化学防護服をつけなければならず、しかもそれらの毒物にさらされたあと何も医療補償を受けられないことがわかっていたら、あなたはそんな戦争に行きますか? 政府が戦争をしかけたくても、兵隊が一人もついていかなかったらどうでしょう。どこかで平和をはじめなければいけないんですよ。

Q: 35年も軍にいた人が、平和への着手について語るなんて驚きですね。
ロッケ: こういう話をするとき、とくに教会だと、「そして幼な子がわれらすべてを平和へと導いた」という聖書の一節を思い出します。しかし、もし環境を汚染したら、どこから子どもが生まれますか? 子どもたちが消えてしまうでしょう。もう戦争ができない時代になったのです。その理由は、のちのち兵士や環境に与える影響が手に余るからですが、一番重要なのは非戦闘員への影響です。使用する兵器のせいで、戦争による汚染や健康被害を除去できなくなったら、敵味方双方の戦闘員にも民間人にも医学治療が与えられなくなったら、残された道は平和しかないのです。
(翻訳: 星川 淳)from★ 星川 淳@屋久島発 インナーネットソース #33 [03.02.27] ★

2003/2/22
イラクの陰でますます悪化するパレスチナ
 イラクの陰に隠れて、イスラエルの傍若無人ぶりはさらに酷くなっています。
 森沢典子さんから現地の窮状を伝えるメールをいただきました。
 その中から、UNRWA(国連パレスチナ難民救済機構)の緊急アピールと、以前にもご紹介し、昨年スタッフを日本に招聘したIMS(国際連帯運動)のアメリカ人コーディネータからのメッセージをご紹介します。CCPからも、昨年来、緊急募金のお願いをしていますが、UNRWAもSOSを発しています。またメッセージを寄せたスーザンさんはその直後、イスラエル政府によって拘束されています。
 アメリカもイスラエルも全く同じ論理、同じ感覚、同じヤリクチで、相手を支配し抹殺しようとしています。そして何の罪もない人々が、恐怖の毎日の中で人権を侵害され、いのちを奪われていくことに、各国政府は手をこまねいているのです。日本では国会でのまともな議論もなく、米国の戦争支援を打ち出しています。国連や国会の議論と、現地の人々を結びつけていかなくてはならないと思います。

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■■UNRWAからの緊急支援アピール

安藤@ガザです。緊急支援のアピールレターです。
● 30ドルで8人家族用の食料パック(小麦粉50キログラム、米5キログラム、砂糖5キログラム、調理油2リットル、粉ミルク1キログラム、レンズマメ5キログラム)が配給できます。

UNRWA、西岸およびガザの緊急支援アピール

国連パレスチナ難民事業機関(UNRWA)は1950年以来、教育、医療、救済・社会サービスをガザ地区、西岸、ヨルダン、シリア、レバノンに住む約400万人のパレスチナ難民に提供しています。2000年10月、UNRWAはその年の9月に始まった紛争とその後の占領地区におけるイスラエルの懲罰的道路封鎖に対応するため、西岸およびガザの緊急支援プログラムを発動しました。

 大規模の軍事侵攻、引き続く移動の自由への制限や外出禁止令、家の取り壊し、農作物への打撃、広範囲に渡るインフラ設備への被害は、経済・医療・社会生活に多大な損害を及ぼしました。失業率はガザにおいて60パーセント、西岸においては50パーセントにのぼっています。またパレスチナ人口の60パーセント(西岸人口の55%、ガザ人口の70%)が一日2ドル以下の生活を強いられています。貧困率の増加は難民の健康を著しく悪化させています。最近USAID(米国援助庁)の資金援助で行われた調査では、子どもたちにおける慢性・急性の栄養不足が急危機的に増加しており、また貧血が母乳を与えている母親の間で顕著になってきていると報告されています。

 西岸およびガザのUNRWA運営の学校に登録している24万3千人の子どもはすでに暴力の経験から精神的トラウマを受けており、学校が心理的救済の場として必要になっています。しかし、長い期間に渡って、学校に登校できない状況がしばしば起こります。学校がイスラエル軍の駐屯所やパレスチナ男性の収容所として使われること少なくありません。また数十もの学校が軍事行動によって被害を受けてきました。それら結果として、アラビア語、英語、算数のテストの成績の著しい低下が顕著になってきました。

 占領地区に住む6千人以上の難民が戦闘やブルドーザーによる家屋の完全な破壊を経験しており、数千もの家族が死亡や重症によって一家の稼ぎ手を失っています。

 UNRWAは戦闘に巻き込まれた難民に対して、緊急的人道支援を行い、また最貧困にある家族の救済に努めてきました。2000年9月以来、UNRWAはホームレスとなった難民に対して緊急シェルターを提供し、また約7,000家屋の修復、また月に一度22万2千世帯の家族に食料パックを配給してきました。失業した一家の稼ぎ手数千人のための一時的な雇用を創出し、さらに最貧困家庭2万世帯に現金支援を行ってきました。

 2002年4月以来、西岸の町や村、難民キャンプへのイスラエル軍の軍事行動や再占領は、パレスチナ人の困窮をさらに深めることになりました。UNRWAはジェニンのような難民キャンプにおける救済努力を調整してきました。ジェニンおけるUNRWAの活動は爆発物の撤去からホームレスとなったパレスチナ人にテントの配給、台所用品や緊急現金支援などの提供など多岐にわたります。UNRWAが家屋修復および再建のために行っている「ジェニン再建プロジェクト」は現在進行中であり、ガザ地区ラファにおいて家が完全に破壊されホームレスになった何百という家族の家屋を再建するプロジェクトとともに平行して行われています。

 UNRWAは引き続き西岸およびガザの難民の最低限の生活基準を維持することに今後も努めてきます。そのためにUNRWAは2003年前半の課題として以下のことを達成することを目標としています。

・ 9,300軒の家屋修復と、400軒の家屋再建
・ ガザ地区においては13万2千世帯、西岸においては9万世帯に、鉄分を強化した小麦粉を含んだ食料パックを配給
・ 負傷者がリハビリするための医療ケアの提供、またイスラエル軍による道路封鎖によって治療を受けることができないでいる人のための移動クリニック往診
・ 補習クラスや自習教材など学校に通えなくなった子どもたちの教育を補うプロジェクトの立ち上げ
・ 最貧困にある家族を支援するための雇用機会の創出

30米ドルの寄付によって、UNRWAは一月の食料パックを8人家族に配給することができます。食料パックには小麦粉50キログラム、米5キログラム、砂糖5キログラム、調理油2リットル、レンズ豆5キログラムが含まれています。

UNRWAへの寄付は、UNRWAホームページ www.unrwa.org から、クレジットカードで行うことができます。また以下の宛先(朝日銀行)にUNRWAを受領人として小切手を送付することもできます。

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郵便局から下記の口座に振り込んでくだされば
3月に現地へわたしが直接持ち込むこともできます。
00190−5−567661  森沢典子 
(通信欄に「支援金」と記入してください)

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■■IMSスーザンからのメール

彼らがあなたの家のドアをノックする(They will come knocking on your door

2003年2月17日
スーザン・バークレイ(Susan Barclay)
ナブルス地区

(最近、ナブルスで子供たちのための活動をやっている時に、部屋いっぱいの子供たちに、刑務所に入っている家族がいる人は?と聞いた人がいました。半分以上の子供が手を挙げました)
 イスラエル軍は夜にやってきます。毎晩やってきては、男たちを――父親、兄弟、パートナー、叔父、従兄弟たちを連れて行きます。暗い真夜中に、涙に濡れた目、怒りに燃えるまなざしが見つめる中、バレスチナの男性たちは、M-16を突きつけられ、拘引理由を説明されることもないままに連行されていくのです。イスラエル軍の兵士は、午前2時か3時に、家のドアを激しくたたくか、でなければ単にダイナマイトでドアを吹き飛ばして家に入り込んできて、眠っている子供たちの頭上に、実弾を連射します。屋内を捜索し、ありとあらゆるものを引っくり返し、引きちぎり、たたき壊し、家具や値の張る物品をめちゃめちゃにし、金や宝石類や携帯電話を盗み、母親に平手打ちを食わせ、父親を殴り、兄弟たちの服をぬがせ、こうして私たちのコミュニティから男たちをひとりまたひとりと連れ去っていきます。
 サーミーと叔父が逮捕されたと、昨晩、フセインが言いました。私は息を飲み、重苦しい沈黙の中、言葉を探しながら、フセインの顔を見つめました。頭の中で、サーミーと交わした最後の会話が蘇ります。将来、いったい何がやってくると期待している? もっとたくさんの戦車、もっとたくさんの死、失う友達の数は増えていって、刑務所で過ごす時間も増えていく、失業、閉鎖された学校、辱め、軍事作戦、侵犯、数え切れないほどの制約――そう思わない?とサーミーは静かに私に言いました。
 サーミーは19歳。2003年2月12日の夜、父親の家に、イスラエル軍がサーミーを拘束しにやってきました。2日間で、ハリーリー家の4人の男性が連行されました。
 17歳のイブラヒムが逮捕されたのは、2晩前(2003年2月14日)。私は午前4時20分に電話で起こされました。母親が泣きながら、ショックも明らかな状態で、あいつらがイブラヒムを連れていったと繰り返しました。連中は家中を引っくり返して、いろんなものを壊して……イブラヒムを連れていった。心が張り裂けそうな、その悲痛な声は、それから1時間以上も私の頭の中に響いていました。私はもう一度眠ろうとしながら、この土地の――人間が作り出したこの地獄の状況と原因について、果てしなく考えつづけていました。
 翌朝、バラータのアブー・ズール(Abu Zhour)一家に会いました。2日前、とても社交的でフレンドリーだった一番下の妹は、まるで口をきこうとしません。部屋はどこもすさまじい状態で、何もかもがこれ以上はないというほどの混乱の中にありました。衣類がいたるところに散らばり、その上に鏡の破片が一面に散らばってキラキラ光っています。くしゃくしゃにされたテープ、引きちぎられた紙類、折れた歯ブラシに破られた学校のノート。
 イスラエル軍がやってきたのは、午前3時を少し過ぎたころ。力ずくで押し入ってきて家中を捜索してまわり、17歳のイブラヒムを連れていきました。イブラヒムは、まだ高校も卒業してさえいません。少年の部屋の片隅にイスラエル軍が放り出していった小さなカバンの中身を見た時、涙があふれてきました。ムハンマドのための衣類にコーヒーにソックス――ムハンマドというのは、母親が説明してくれたのですが、今、刑務所にいる(2002年11月に連行)もうひとりの息子です。いったい、どれくらいの家族が、それぞれの家でこうしたカバンを用意しながら待っているのでしょう? 現実には、イスラエル民主主義国家は、赤十字が刑務所を訪問することさえ禁止しているのです。
 ムハンマド・ヒルフェ(Khilfe)は1週間前、外国人活動家(インターナショナルズ)が彼の家で休んでいる時に逮捕されました。イスラエル軍は真夜中にやってきて、まず上階を捜索し、ボシャール(Boshar)を「人間の盾」にするために連れ出すと、改めて階下のムハンマドの玄関にまわり、全員で家の中に押し入りました。彼らは無理矢理にムハンマドを連れて行きましたが、その前に、母親を、イスラエル秘密警察の電話に出させました。秘密警察は気安い口調で、こう説明したそうです――ムハンマドを連れていくが、下の14歳の息子にも注意を怠らないように、でないと、その子も連行しにいくことになる、と。私が電話をしたのは、兵士たちが去ってから5分後だったのですが、母親はまともに話もできない状態で、何度も名前を繰り返したのち、別の人に代わりました。
 フサーム・シャクシール(Husam Shakshir)は2月12日の午前3時に連行されました。旧市街の彼の家に押し入ったイスラエル軍兵士はM-16で全員を脅しました。母親と父親に対して暴力的な態度を示し、杖をついて歩いている70歳に近い温厚な父親を床に押し倒しました。そして、家の中をことごとく荒らしまわったあと、息子を連行していったのです。
 こうしたことが毎晩、起こっています。夜の闇の中で、検問所で、市場に行く途中で、散髪の最中に、兄弟が、父親が、息子が消えていきます。何の理由もなく、あるいは何らかの理由があって。拘束は暴行や拷問を意味します。明確な罪状を示されないままの、そして/あるいは、イスラエル秘密警察が密かに判事に提示する証拠に基づく、何カ月にもわたる拘禁。イスラエル軍はあらゆる人を連行しています。政治活動を行なっていようといまいと、若者、老人、金持ち、貧乏人、学生、農夫、パン屋、大工――誰彼かまわず、夜ごと、男たちを連れ去っていくのです。
 あらゆる人にとって、家族や友達が次々にいなくなっていくのを受けとめるのは次第に厳しいものになっていっている――そんなふうに思われてなりません。理由を見つけることも、みんながいずれ戻ってくると考えることも、そして、何よりもこの事態を受け入れること自体、どんどん難しいものになっていっています。
 こんなふうに思うのも、たぶん、ひとりひとりの男性が、私の目には、もうひとりの兄弟のように映るからでしょう。私の一番上の弟のマイケルは31歳です。大学院に通っていて、2人の幼い子供とすばらしいパートナーがいます。政治活動はしておらず、前科もなく、友達とブラブラするのが大好きで、子供たちがたいそう自慢。この地にいる多くの男性とちっとも変わりがありません。マイケルは飛び抜けたユーモアのセンスを持っていて、とてもクリエイティヴで、一家と妻にとっての大黒柱です。
 私は、マイケルとリズとオーウェンとディランが、真夜中、玄関の扉をたたき壊して入ってくる合衆国海兵隊の兵士たちに目を覚まさせられるところを想像します。海兵隊員たちが突然、それぞれの家に押し入ってきて、実弾を発射し、大声で全員に命令し、弟が怒って何か言おうとすると、腹にM-16を突きつけて「黙れ!」と叫ぶ。侵すべからざる安全に包まれて深い眠りについていたものたちの時間を一気にたたき壊す狼藉行為――子供たちを恐怖の底に追いやり、一瞬の内に、物質的なものを超えた何ものかを奪い取ってしまう。
 甥たちが泣き叫びはじめるのが見えます。リズとマイクは、このうえない無力感に切りさいなまれながら、子供たちの安全が霧のように消え去っていくのを見つめています。自分たちの家が略奪され、権利が踏みにじられ、人間性が否定され、そうしてひとことの言葉もキスも交わす間もない内に、私の弟マイケルは、目隠しをされ手錠をかけられて、家から引きずり出されます。ドアがバタンと閉められると、リズは震えている男の子たちを抱きかかえて、窓に駆け寄ります。まだ恐怖に包まれている幼い子供と妻が見守る中、マイケルは、M-16と暗い人影に囲まれて軍のジープの中に消え、どこか遠い遠いところに連れていかれてしまう……。
 暴行のこと、身体に加えられる暴力、これまでに聞いた拷問や残虐な行為、訊問、気候の話などが頭の中をかけめぐります。寒くはないだろうか? でも、彼が今どこにいるのか、どれくらい拘禁されるのか、どんな状況で誰と一緒なのか、何ひとつわからない。消え去った。奪い去られた。子供たちの、あなたの目の前で。いかなる罪状もなく、いかなる理由もなく。果てしないあなたの疑問に、答えは何ひとつ存在しない。
 周りの人々は、こんな状況をまのあたりにしながら口を閉ざしている。きっと、逮捕されるだけのことをしたのだろうと言い、あなたのパートナーを犯罪者、テロリストと呼び、夫が連れて行かれたのなら、それなりの理由があるにちがいないと考えて、そのままいつもどおり仕事に出かけ、朝の渋滞する道路に車を乗り入れる……。
 いつもながらのありきたりの話ではないか。またひとりパレスチナ人が収監されたというだけの。
 いいえ。私が言っているのは、昨夜、イスラエル軍があなたの弟を連行しにやってきたということなのです。
(訳:山田和子さん)
2003/2/4
新たな核兵器使用疑惑 アフガニスタンでアメリカは何をしたか
☆転載歓迎☆
[アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン]      

ウラニウム・メディカル・リサーチ・センターの
アフガニスタン劣化ウラン被害調査活動への資金カンパのお願い

          
 12年前の湾岸戦争で使用され甚大な被害をもたらしている劣化ウラン兵器がアフガニスタン戦争で大量に使用された疑惑が明らかになってきました。カナダのウラニウム・メディカル・リサーチ・センター(UMRC)がアフガニスタンでの劣化ウラン試料の分析について緊急の寄付を呼びかけています。私たちはこの調査活動へのカンパを呼び掛けます。
 UMRCは昨年5月と9月の2回にわたってアフガニスタンでの医学的調査、聞き取りを行い、住民の尿などのサンプルと土壌のサンプルを集めました。予備的に行われたナンガハル州の分析結果は驚くべきものでした。尿を提供した全員からウラニウムが検出されたばかりか、1999年に検査した湾岸戦争参加兵士からの検出値の100倍から400倍という高濃度のウラニウム汚染が確認されたのです。この地域は洞窟破壊用の硬化目標攻撃用誘導爆弾の集中攻撃が行われた地域であり、この硬化目標用の兵器こそ新たに劣化ウランの使用が疑われている兵器なのです。確かに今のところ検出されているのは劣化ウランではなく「非劣化のウラン」(undepleted uranium)です。しかしこのウラニウムの出所は米軍の爆撃以外に考えられません。アメリカには湾岸戦争、旧ユーゴスラビアで大量の劣化ウランを使った前歴があります。疑われて当然です。劣化ウランの使用の有無、被害の発生についてアメリカが自分から明らかにしたことはありません。「軍事機密」と称して闇に葬り去ろうとするのを被害者の訴え、良心的科学者と平和運動家の取り組みなど運動の力が認めさせてきたのです。重大な疑惑であるからこそアメリカに対してその真否を問いたださなければなりません。
 UMRCの調査は極めて重要だと思います。それは、まず第1に、アメリカが劣化ウラン(場合によっては天然ウランかもしれません)を大量に使う戦争、新しい「核戦争」を行っている事実を明らかにするでしょう。人々を無差別に長期にわたって殺戮し続ける放射能兵器の利用も、そのエスカレートも絶対に許してはなりません。第2に、被害者であるアフガニスタンの人々のためにも、アメリカが使用した劣化ウランの被害の範囲と程度を明らかにするでしょう。それは戦争犯罪に対する補償要求の基礎になります。そして第3に、アメリカの新しい「核戦争」に加担し、軍事協力している「被爆国」日本政府への批判となるでしょう。
 彼らの調査は、米軍が事実上の「核戦争」を行うことなしには戦争ができない実態を暴き、米軍の戦争の非人間性、犯罪性を明らかにするものです。そして新しい「核戦争」の危険を暴き、それを通じて対イラク戦争に反対する運動、新しい核被害者をつくらない活動に寄与するでしょう。
 1. 私たちはこの調査に緊急の資金支援が必要だと考えます。1サンプル約12万円(1000ドル)という分析費用は個人ではなかなか対応が困難です。しかし、たとえ少額でも援助したいという声が集まり、劣化ウランの危険性の警告と一緒に日本中に広がっていくことが重要だと思います。そこで、諸個人、グループによる小口の寄付を広く呼びかけます。下記口座あてに送っていただければ、それをまとめて寄付として送付し、名前や人数もUMRCに伝えます。
 2. 日本国内でまだアフガニスタンへの劣化ウラン使用問題とUMRCの要請はあまり知られていません。できるだけたくさんの方に支持の声を上げていただき、支援の輪を広げていただくことが大切なことです。今後さらに多くの方に共同呼びかけ人に加わっていただきたいと思っています。参加いただける方は下記までご連絡ください。また、皆さんがさまざまな方法で関心をお持ちの方に働きかけて頂き、さらに運動を広げて頂くようにお願いします。
 郵便振込:00950−5−178725 
      「米戦争拡大と有事法制に反対する署名事務局」
      1口1000円、期間は2月末までとします。
      振り込み用紙には「劣化ウラン被害調査カンパ」と必ず書い
      てください。

◎共同呼びかけ人(2003年2月1日現在)
 石川逸子(詩人)
 大河内秀人(パレスチナ子どものキャンペーン常務理事・僧侶)
 嘉指信雄
 (「劣化ウラン弾禁止を求めるグローバル・アソシエーション」共同代表)
 川嶋京子(「湾岸戦争の子どもたち」写真展〜米国実行委員会)
 きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン)
 小林一朗(環境・サイエンスライター)
 小山英之(美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会代表)
 志葉 玲(フリーランスジャーナリスト)
 アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション代表)
 田中 優(日本国際ボランティアセンター理事)
 広河隆一(フォトジャーナリスト)
 星川 淳(作家・翻訳家)
 細井明美(テロ特措法・海外派兵は違憲市民訴訟の会 世話人)
 前田 朗(東京造形大学教授・アフガニスタン国際戦犯民衆法廷共同代表)
 蒔田直子
 松田卓也(ASIAN SPARK)
 松本真紀子
 三輪 隆(ストップ!有事法制全国講師団)
 森住 卓(写真家)
 森瀧春子(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会・共同代表)
 山田和尚
 吉田正弘(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局)

 「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局」が、このキャンペーンの事務を引き受けています。カンパ運動の状況報告や今後参加される共同呼びかけ人の発表、新しい情報の提供などは、「署名事務局」のホームページhttp://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/umrc.htmで行います。

 署名事務局連絡先
 大阪府松原市南新町3-3-28阪南中央病院労組気付
 FAX 072-331-1919 090-5094-9483
 (事務局)e-mail stopuswar@jca.apc.org
 090-5016-3844(事務局・吉田正弘)
 e-mail:masayo@silver.ocn.ne.jp

参考資料
ウラニウム・メディカル・リサーチ・センター
アフガニスタンのウラニウム汚染−−アフガニスタンの人々に代わっての
緊急アピール(2003年1月) 
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Bushwar/umrc_appeal.htm 
をご覧ください。
2003/2/1
「驚きと畏怖」作戦
 ケンブリッジでの「NGOの評価とアカウンタビリティに関する研究会」に参加し昨日帰国しました。何十年ぶりといわれる寒さには、山岳部出身としてなんてことはなかったのですが、最終日まで時差ボケに苦しみました。いつもヨーロッパ経由で中東やアフリカに行って、一度も時差ボケなどなかったのですが、方角が悪いのか、はたまた最近は夜中に飲み歩くことも減り、規則正しい生活を送っていた?ためか、夜は眠れず昼間はボーッという1週間でした。

 そんなこんなで、自分の発表や会議に着いて行くのが精一杯で、向こうのメンバーと、イラクやパレスチナ問題について話す余裕がまったくありませんでした。今回のテーマの「NGOのアカウンタビリティ」に関しては、アメリカ側の取り組みに学ぶことも多く、大いに刺激されてまいりました。

 さて、氷点下のボストンから帰ってきたと思ったら、イスラエルの選挙、ブッシュ大統領の一般教書演説と、世界が凍りつくような日々が続きます。あのお二人とご関係の方々には、どこかヨソの星に行っていただいて、存分に、毎日楽しく、やりたいだけブッパナシてお暮らしいただきたいものです。地球規模の星が3つや4つじゃ足りないでしょうが、、
 さてさて、「アメリカ、ひいては世界の経済がこんなになっちゃったり、不安がどんどん大きくなっていくのはどうして?」って、まともに考えるアメリカ人がどれくらいいるかが、これからの道を分けていくものだと思います。
・・・・・
 王子として生まれたゴータマ・シッダルタは、お城の外の現実に接し、「苦」の現実を直視するところから覚りにいたりました。ブッダとなった最初の説法で、苦の本質を正面から受け止め、その原因とメカニズムを冷静に分析し、真の平安をめざし、正しい行動をとれと語っています。つまり、「苦」の側に身を置くことにより、真実を見極めることが可能になるのであって、日本の(まともな)宗祖たちもすべて、最初から権威ある教義を振りかざしたのではなく、苦難の求道があったのです。
 「高度経済成長期」に育ち、バブルの初期に社会に出た私自身の経験を言えば、和平前、80年代のカンボジアで、初めて世界の構造に眼が啓かれました。しかし、当時はJVCのボランティアをしていても、国連で承認されていない政府の国をなぜ支援するのかといろんな人たちから非難されました。今でも北朝鮮やパレスチナを支援することに、非難や嫌がらせがあります。
 また、東西冷戦終焉直後のパレスチナで、虐殺直後のルワンダで、「宗教戦争」や「民族紛争」とみなす「先進国」側の傲慢な偏見と切り捨てを痛感するとともに、宗教や民族の本当の意味を考えることができました。
 じつは商業マスコミを含む権力によって刷り込まれている「先進工業国」のアタマは、ちょっとやそっとの「感性」や「想像力」では、もはや現実すら受け容れることは不可能なのかとも思われます。
 しかし、善とか悪とかという価値判断は一旦横においていただいて、「被害者」を主張し、不安と憎悪を煽る「戦争中毒」者のアジテーション---これについては、青山貞一さんのサイト 「正当性なき米国のイラク攻撃」をぜひご参照ください。 http://www.01.246.ne.jp/~aoyama/bush-speech-2003.1.htm---を冷静に判断し、今、最も危険にさらされている人々の立場、声の伝えられない人々の立場に立ってみてほしいと思います。
 被爆国であり侵略国であったこの国の市民の一人である責任を感じ、また私事ですが、寿光院も見樹院も空襲で全焼し(もちろん私は生まれてませんでしたが)、94年(ルワンダ虐殺の年でもありました)にたくさんの50回忌をつとめたことを思い起こしながら、以下のCBSの記事を転送させていただきます。

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イラクは米国の大量のミサイル投下に直面する
ワシントン 2003年1月24日

 それは「Aデー」と呼ばれている。サダムの兵士たちを戦闘不能にする、あるいは戦意喪失させるに十分な壊滅的打撃をイラクに与える空爆を行うから、airstrikesの頭文字を取ったのだ。
 ペンタゴンが現在の戦争計画を守るなら、3月のある日、空軍と海軍がイラク国内の標的めがけて300〜400発の巡航ミサイルを打ち込むことになる。CBSニュースのデビッド・マーティン特派員の報告によれば、これは、第一次湾岸戦争の全期間40日に投入された数を上回る。
 そして二日目、またもや300〜400発の巡行ミサイルを打ち込むことに、ペンタゴンの計画ではなっている。「バグダッドに安全な場所はなくなる」と、この計画の説明を受けたペンタゴンのある役人は語った。「このような規模の攻撃は前代未聞だし、今までに考えられたことすらない」と、彼は言う。
 この戦闘計画は、国立防衛大学で開発された「驚きと畏怖」というコンセプトに基づいている。それは、ミサイルの力による物理的破壊でなく敵の戦意を破壊する心理的効果を主眼としたものである。
「彼らが戦闘をやめてしまうことを我々はねらっている。彼らが戦わないことをだ」と、「驚きと畏怖」の立案者の一人、ハーラン・ウルマンは、言う。このコンセプトは、高精度誘導兵器を多用するのが特徴だ。「そうすれば、効果は何日、何週間もたって現れるのでなく、すぐに現れ、広島での核兵器にかなり近いものだ」とウルマンは言う。
 第一次湾岸戦争では、兵器のうちピンポイントの精度で誘導されるものは10%だった。今度の戦争ではそれが80%になるという。空軍は、通常の精度のひくい爆弾を、衛星で誘導される爆弾に変えるため、こうした誘導キットを6000個、ペルシャ湾に蓄えている。そんな兵器は、第一次湾岸戦争のときには存在しなかった。
「バグダッドにいる将軍の指揮下の30師団が突然消されてしまうのだ。都市も破壊される。つまり、彼らから権力と水を奪うことができるのだ。2日か3日か4、5日で、彼らは、物理的にも情緒的にも心理的にも力尽きてしまう」と、ウルマンはマーティンに語った。
 前回のときは、米国は機甲部隊をクウェートに送り込み、第二次大戦以来最大の戦車戦で、イラクの共和国防衛軍の精鋭師団を圧倒した。このときの標的は、イラク陸軍ではなく、イラク指導部だったのであり、戦闘計画は、可能な場合はイラクの師団を回避するように考案されていた。

 「驚きと畏怖」作戦が奏効すれば、地上戦は行われないだろう。

 ブッシュ政権の誰もがこの作戦が成功すると思っているわけではない。ある高官は、これを「馬鹿げたことの寄せ集め」と呼んだが、戦争計画が そこのコンセプトにもとづいて立てられていることは認めた。
 昨年のアフガニスタンにおけるアナコンダ作戦で、アルカイダが進んで死ぬまで戦ったのは、アメリカにとって予想外のことだった。イラクが戦意を喪失しなければアメリカは、増援部隊を投入して、古いやり方で戦わなければ、共和国防衛軍に勝つことはできないかもしれず、それはアメリカとイラクの双方の犠牲がいっそう多くなることを意味する。
                        (訳 萩谷 良)

> Iraq Faces Massive U.S. Missile Barrage
>
> WASHINGTON, Jan. 24, 2003
>
> They're calling it "A-Day," A as in airstrikes so devastating they would
> leave Saddam's soldiers unable or unwilling to fight.
>
> If the Pentagon sticks to its current war plan, one day in March the Air
> Force and Navy will launch between 300 and 400 cruise missiles at targets
> in Iraq. As CBS News Correspondent David Martin reports, this is more than
> number that were launched during the entire 40 days of the first Gulf War.
>
> On the second day, the plan calls for launching another 300 to 400 cruise
> missiles.
>
> "There will not be a safe place in Baghdad," said one Pentagon official
who
> has been briefed on the plan.
>
> "The sheer size of this has never been seen before, never been
contemplated
> before," the official said.
>
> The battle plan is based on a concept developed at the National Defense
> University. It's called "Shock and Awe" and it focuses on the
psychological
> destruction of the enemy's will to fight rather than the physical
> destruction of his military forces.
>
> "We want them to quit. We want them not to fight," says Harlan Ullman, one
> of the authors of the Shock and Awe concept which relies on large numbers
> of precision guided weapons.
>
> "So that you have this simultaneous effect, rather like the nuclear
weapons
> at Hiroshima, not taking days or weeks but in minutes," says Ullman.
>
> In the first Gulf War, 10 percent of the weapons were precision guided. In
> this war 80 percent will be precision guided.
>
> The Air Force has stockpiled 6,000 of these guidance kits in the Persian
> Gulf to convert ordinary dumb bombs into satellite-guided bombs, a weapon
> that didn't exist in the first war.
>
> "You're sitting in Baghdad and all of a sudden you're the general and 30
of
> your division headquarters have been wiped out. You also take the city
> down. By that I mean you get rid of their power, water. In 2,3,4,5 days
> they are physically, emotionally and psychologically exhausted," Ullman
> tells Martin.
>
> Last time, an armored armada swept into Kuwait and destroyed Saddam's
elite
> republican guard divisions in the largest tank battle since the World War
> II. This time, the target is not the Iraqi army but the Iraqi leadership,
> and the battle plan is designed to bypass Iraqi divisions whenever
> possible.
>
> If Shock and Awe works, there won't be a ground war.
>
> Not everybody in the Bush Administration thinks Shock and Awe will work.
> One senior official called it a bunch of bull, but confirmed it is the
> concept on which the war plan is based.
>
> Last year, in Operation Anaconda in Afghanistan, the U.S. was badly
> surprised by the willingness of al Qaeda to fight to the death. If the
> Iraqis fight, the U.S. would have to throw in reinforcements and win the
> old fashioned way by crushing the republican guards, and that would mean
> more casualties on both sides.
>
> ------------------------------------------------------------------------
>
> Statement from CBS News Anchor Dan Rather: "We assure you this report
> contains no information that the Defense Department thinks could help the
> Iraqi military
> ゥ MMIII, CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.
2003/1/22
足温ネットが子ども向け環境副読本を出版
足温ネットでは、子ども向け環境副読本

『ハルナの力(ちから)』を出版しました。

当会理事の田中優が書いたお話に、長野県松本市在住のイラストレーター古林いつ子さんに挿し絵を描いていただきました。
温暖化問題を中心に、具体的な話から環境のことを学べる内容です。
大人の人でも「眼からウロコ」「読みやすく、どうするべきか参考になった」などと好評です。

関心のある方は、寿光院宛でも結構ですので、ぜひご連絡下さい。

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特定非営利活動法人
足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ
Edogawa Citizen’s network for Climate-Change (ECCC)

プレスリリース
子ども向け環境副読本『ハルナの力(ちから)』
私どもは東京・江戸川区にあります、環境NPO「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」と申します。21世紀最大の環境問題である地球温暖化問題について、地域で市民が主体的に取り組めることを訴え、実践してきました。そこで、環境教育が重要であると考えた私たちは、未来を担う子どもたちにある本を贈ることにしました。

2人の姉弟が、地球温暖化だけでなく地球上で起きている様々な環境問題を取り上げ、解説するという内容です。優しいタッチの挿し絵は、まるで絵本のようです。
子ども向けの環境教育や読み聞かせなどに、ぜひご活用ください。

■分かりやすい内容■
地球環境問題を分かりやすく解説するため、身近な題材を取り上げ、データやグラフ、写真を使いながら、
金融やエネルギーのグローバル化がもたらす環境破壊についてとっても分りやすく解説します。
「あとがき」には、この本が書かれた目的などを大人向けに書き添えました。

■優しいタッチの水彩画■
本の中で用いられる挿し絵は、長野県松本市在住のイラストレーター・古林いつ子さんにお願いしました。
水彩やアクリル絵の具を使った優しいタッチの絵です。http://www.avis.ne.jp/~neiba/ituself1.htm

■イオン環境財団から助成金■
本の作成にあたっては、「(財)イオン環境財団」から助成金30万円をいただき、完成することができました。
http://www.aeongroup.net/ef/

■装丁・頒価■
装丁:A4版/本文20ページ
頒価:1冊300円

▼発行・お申し込み・お問い合わせ▼
特定非営利活動法人 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ
〒132-0033 東京都江戸川区東小松川3-35-13-204
TEL/FAX:03-3654-9188 FAX:03-3654-4727 
E-mail:yamachan@jca.apc.org
2003/1/16
デニス・クシニッチ下院議員の演説
デニス・クシニッチ下院議員の演説(訳・森田玄)

 私が描くアメリカとは、単独行動主義の代わりに世界調和を求める国であります。最初に攻撃するのではなく、最初に手を差し伸べる国。世界のひとびとの重荷を軽くするために努力する国。援助を乞われたら、爆弾ではなくパンを、ミサイルではなく医療援助を、核物質ではなく食料を分配するのがアメリカなのです。
 アメリカには世界での役割があります。それは世界の国々と協力して世界各国の平和を達成することです。それは、不拡散条約の約束をもとに戻し、率先して核兵器全廃に向うことです。国際秩序を確保する手助けをすること。国際条約を補強し、順守すること。生物化学兵器と地雷の管理と最終的には撤廃を保証すること。炭素排出削減のため世界各国と協力して地球の気候を保護することです。
 アメリカは世界を守る助けをできます。世界を救う助けができます。しかし、世界を管理することはできないし、私たちもそれを望むべきではありません。しかし私たちの政府はアメリカのパワーを支配するために使おうとしています。その国家安全保障の方針では、アメリカは世界のどこでも好きに攻撃でき、最初に核兵器を使えるとしています。
 我が国は今やイラクへの戦争を国をあげて行うとしています。イラクはアメリカに対していかなる敵対行為をしていません。イラクは9月11日のテロ攻撃には責任がありません。9月11日テロ攻撃でイラクとアルカイダを結び付ける信用できる証拠は何もありません。炭疽菌事件にイラクは責任がありません。
 イラクが使用可能な大量破壊兵器を保有しているという証拠を国連は未だ確認していません。イラクがアメリカを攻撃できる能力があるという証拠は何もありません。CIAによれば、イラクはアメリカを攻撃する意志はないが、もし攻撃されれば反撃すると言っています。
 それでは何故、我が国は30万人もの我が若い男女をバグダッドやバスラの市街戦に送り込もうとしているのでしょうか。なぜ我が国は、イラク破壊のために2000億ドル以上の、汗水たらして私たちが稼いだ税金を注ぎ込もうとしているのでしょう。なぜ我が国は、歴史上かつてないほど強力な軍事力でイラク国民を攻撃し、彼らの家やビルを破壊し、水道や送電施設を壊滅し、彼らの食料や医療品の補給を絶とうとしているのでしょう。その答えは、石油経済、兵器輸出の利益、歪んだ帝国建設主義を抜きには考えられません。
 
 イラクとの戦争は間違っています。しかしもし、イラクとの戦争に突入すれば、私たちはこの国で平和の種を蒔き始めなければなりません。私たちは立ち上がり、声を上げ、仲間をつくり、デモに参加し、戦争反対を要求し、戦争を肯定する政府を止めさせるよう求めなければいけません。
 私たちがこの戦争に反対することは緊急な問題です。
 それは国家の優先事項を無視するでしょう。社会保障制度を危うくするでしょう。医療制度を危うくするでしょう。老人への医療補助を危うくするでしょう。アメリカがすべての人に仕事や健康医療補助、教育を与えることを危うくするでしょう。
 戦争について政府に批判的なことは非愛国的だと信じる人たちがいます。その人たちは政治的には経済問題を論じた方が利口だと思っています。しかし、戦争を国家予算から分けて、戦争を経済から分けて、戦争を国民の生活必需品を供給する能力と分けて考えられるでしょうか。
 私たちは質問する必要があります:
 イラクの無実の人々の健康と生活を破壊するのに何千億ドルも使うのに、
 なぜアメリカ国民全員に健康医療補助をできないのか。
 アメリカはサダムフセインを引きずり下ろすのに何千億ドルも使うのに、
 なぜ自分の国民の退職保険を保護する金がないのか。
 イラクのユ−フラテス川の橋を爆破する金をアメリカにはあるのに、なぜここクリーブランドのクヤホガ川に橋を建設する金がないのか。
アメリカがとるべき道は繁栄を導くような平和です。それは経済システムが健全で、基本的な生活環境や人間の価値を保障するような平和構造を理解することです。
 これが平和省の夢です。それによって、アメリカが私たちの社会で非暴力を基本的原則にする第一歩を歩むことができるのです。マーティン・ルーサー・キング牧師の仕事を現実にすることができるのです。そして戦争自体を過去の物にできるのです。この平和希求と平和創造の倫理によって私たちは宇宙から兵器を降ろし地球に新しい可能性溢れる天国を創造する仕事を始められるのです。
 平和と繁栄が新生アメリカの2つの柱になるべきです。それが国家の目的として我が国民の経済と社会の安定をもたらし、そして他の国々の経済と社会の発展をもたらすのです。
この国民の目的を確認することはフランクリン・ルーズベルトとニュー・ディール、リンドン・ジョンソンと偉大なる社会、ジョン・F・ケネディとニュー・フロンティアの夢でした。
 これは今後も私たちの夢であり続けるでしょう。そして、どのような暗いときになっても、私たちはアメリカの目的の灯りをさらに高く掲げ続けるべきです。それがワシントンやジェファーソン、アダムズからリンカーンを経て今日までの時代を通して訴えている私たちの使命なのです。
 私たち国民は、9月11日の暗黒日やそれに対する政府の対策にもかかわらず、常により高い使命感を持って来ました。それは危機の時も平和の時も、民主主義への探究と、自由と公正への探究を維持する使命感です。そのより高い使命感を私たちは感じることができます。
 そのより高い使命感が私たちの遺産です。フランシス・スコット・キーの言葉がいまだに響いています:
 『自由の土地と勇気あるものたちの家の上に、星条旗は未だはためいているだろうか?』
この中で彼は自由と勇気との結びつきを祝福しています。民主主義の中に生きるには勇気が必要だと。テロリストに立ち向かい、基本的自由を守るには勇気が必要です。
 世界の兵器廃絶に向って進むには勇気が必要です。一方でそれが曲げられ破壊をもたらしています。世界の独裁者に対して、彼らを爆弾で黙らせたいという誘惑を抑えて交渉するには忍耐が必要です。
大きな力を持ちながら世界でそれを優しく使うには知恵が必要です。そして生存を賭けて、厳しい生活環境や抑圧的な政府のもとで自己のつましい生活を送ろうとしている世界の人々の苦しい状況を理解するには、思いやりが必要です。
 みなさん。これはあなたの政府です。その運命をどのように描くのかあなた方には発言する権利があります。その権利は私たちの独立宣言から導かれています。
 それは自己統治を基本的な権利としました。政府はワシントンDCだけで起きるのではありません。それは何千という市、町、村で起きるプロセスの結果です。それはまた、私たちの心に起きるプロセスでもあり、それが国土への愛やお互いの愛によって生まれるのです。
 私がこれらの希望や夢を遂行できるのはみなさんの愛からです。それを勇気を持って将来に向けてやっていくつもりです。
 ありがとうございました。